金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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現在、記事の整理中。

491:松井優征『逃げ上手の若君〈3〉』

2021-11-05 19:16:52 | 21 本の感想
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

諏訪領、北の国境で 瘴奸率いる悪党が非道な侵略を開始し、
大人は皆殺しにされ、幼子だけが村に残されていた。
時行は二刀使いの青年・吹雪と出会い、
彼の緻密な策略で悪党の追撃を凌いでいたことを知る。
時行の逃げ上手に着目した吹雪は、敵大将を討ち取る奥義を授ける…!

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地味な時代・人物・事件で、ここまできちんと
エンタメにしてるのすごい……
というのは1・2巻からずっと思ってるのだけど、
今回は恐れ入った。

悪党とはなんぞや? というところから始まって、
武士の相続のあり方、信仰心、
「不思議」に対する感覚の変化に触れて、
人物や事件だけでなく、
「時代」をちゃんと描こうとしている。

これ、もし私が書こうと思ったら(書けないが)、
説明だらけになっちゃうだろう。
「時代」を描くかわりに、この漫画、割と思い切りよく
説明を放棄しているところもあるのだった。
執権なんて 「総理大臣的なもの」 で済ます雑さ。
しかし、少年ジャンプ的には、これが正解だよね。
小学生や中学生に、より正確な説明をしたところで
入っていかないだろうし、
「なんか知らんが偉い人」くらいの認識でも、
なんとなく作中の雰囲気で感じ取れるものもあるだろうし。
そして、その取捨選択もちゃんと理由があってのことで、
メインストーリーの理解に最低限必要な情報だけを
選んでいるのであった。

初登場の吹雪くん、素性が一切明かされていない。
あんまりにもナチュラルだから、
違和感なく話が進んでいるんだけど、
重要な設定があるだろうな。

おそらく史実通りに、頼重は挙兵からそれほど経たないうちに
死んでしまうであろうことを思うと、
最後のやりとりにはほろっときてしまう。

小笠原の株は上がる一方。
なにこのおっさんアゲ。

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490:高瀬志帆『二月の勝者〈12〉・〈13〉』

2021-11-05 18:53:05 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

続ドラマ化!話題の中学受験ストーリー!

「最後の12月の模試が終われば、
あとはもう“本番”しかありません」

合否判定がわかるラストチャンス。
全生徒、その保護者、講師が導き出す
最終的な志望校がついに出そろう!

島津君、上杉君の友情コンビの第一志望は!?

黒木が「圧倒的王者」と言い切るフェニックス、
その驚異のシステムとトップ生徒のすごさとは!?

「私はまだ本気出してないだけ」
“頑張らない努力”をすることで自分の心を守る子供の真意は?

ついに黒木が隠している別の顔が佐倉に知られて…?
黒木をつき動かす過去の“約束”とは。

連載100回突破!映像化も決定の最も熱い人間ドラマ、
中学受験を通じて、受験塾の緻密な戦略と、
子供の成長と親の自律を描く第12集! 

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「過去問の答えを見てできた風を装う」、
あるある過ぎる……

読んでも「我が子(家)だけは別」と思うのが常だろうけれど、
保護者に言いたいことが詰まっているので、
中学受験する家庭の親は、全員、この漫画を読んでほしい。

13巻、貧困家庭について触れられていたのは意外。
中学受験をする子の大部分は裕福の家庭の生まれで、
これまでこの漫画がスポットライトをあててきた子たちの
生活とは、まったくかけはなれた世界だろう。
主人公たちが「受験屋」であるだけでなく
「教育者」であろうとしていること、
そして相手がどんな環境にあろうとも
せめて手の届く子を救いたい、という気持ちを持っていること。
それを描いていたのはとてもよかった。

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