金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

映画:『猟奇的な彼女』

2023-01-14 21:46:03 | 映画の感想
2023年の映画⑤『猟奇的な彼女』(クァク・ジェヨン 監督)
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
キョヌはごく普通の気立てのいい大学生。
ある日、地下鉄で自分好みの女性に目を止めるが、
それがかなりの酔っ払い。
やりすごそうとするキョヌだったが
彼女はそのまま電車の中で倒れてしまい、
なぜか自腹でホテルに運ぶハメに・・・。
その夜から、彼は生意気で凶暴で、でも曲がったことは大嫌いな
“猟奇的な彼女”の起こす事件にことごとく巻き込まれて大わらわ。
しかし、どんな仕打ちを受けてもどうしようもなく
その魅力に引き込まれていくキョヌ。
そんな時、彼女が親から強制されたお見合いをするという。
二人の恋の行方は一体どうなるのか・・・??
 
*******************************************
 
Amazon primeで視聴。
公開当時、日本でも話題になっていてヒットしていたのは
知っていたけれど、観る機会がないままだった。
 
かつて同性愛や精神病は当たり前のように笑いのネタにされていたけれど、
今では絶対許されないし、一世を風靡したツンデレ暴力ヒロインも今は不人気。
そんなわけで、時代のズレのようなものを感じる部分は結構多くて、
「ヒロインにゲロをぶっかけられるカツラのおじさん」とか
笑えないところが多かったし、ヒロインは絵に描いたようなツンデレ暴力女。
 
なのになぜあんなに評価が高い……?
ヒロインのかわいさは理解できるようになってきたけど、長いよ~
 
と思いながら観ていたら、終盤の展開。
 
なるほどね~!!
 
最初、木の下にいたおじいさんが主人公かと思って
「残酷すぎる!!」と思っていたのだけど、
ラストで突然の伏線回収&どんでん返し。
冷静に振り返れば、コメディテイストと終盤の展開は合っていないし、
ヒロインのキャラも過去と合っていないし、ちぐはぐなんだけど、
ラストの驚きと幸福感で「よかった!」という感想になるのはわかる。
終わりよければすべてよし。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4:柚木麻子『らんたん』

2023-01-14 21:43:49 | 23 本の感想
柚木麻子『らんたん』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
「BUTTER」著者渾身の女子大河小説。

大正最後の年。
かの天璋院篤姫が名付け親だという一色乕児は、
渡辺ゆりにプロポーズした。
彼女からの受諾の条件は、
シスターフッドの契りを結ぶ河井道と3人で暮らす、
という前代未聞のものだった――。
 
****************************************
 
先輩から借りた本。
シスターフッドを題材にした歴史小説だということは
事前情報として持っていたのだけど、予想以上にフェミニズム小説だった。
 
第一章なんか、
「新渡戸稲造以外の男は、みんな滅びろ! 特に伊藤博文は地獄に落ちろ!」
というレベルで頭にくる。
 
河合道とその教え子であり強い絆で結ばれた一色ゆりを主軸に、
津田梅子や広岡浅子、平塚らいてう、村岡花子……と
近現代の有名人が続々登場。
フィクションも相当入っているのだろうけれど、
当時は知識人とそれ以外の格差が大きかっただろうから、
狭い知識人同士のコミュニティで、つながっていてもおかしくないと思わせる。
 
津田梅子たち女性をアメリカへ留学させたものの、
帰国した彼女たちのためには何の職も用意していないところとか、
本当に今も昔も変わらぬ政府の「表面上だけ」っぷりよ……。
日本社会に戻って夢破れた大山捨松との不和を経て、
死ぬ間際の彼女のために徳冨蘆花に謝罪文を書かせる津田梅子に涙。
 
「うるさく波風立てる」と疎まれながらも
声を上げ続けてきた先人たちのおかげで、
改善されてきたこと、いっぱいあるのだなあ。
 
有島武郎も野口英世もけちょんけちょんなんだけど、
特に太宰治評は最高におもしろかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする