如月かずさ『給食アンサンブル』
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
転校先の学校に馴染むのを拒む美貴、
子どもっぽいのがコンプレックスの桃、
親友の姉に恋をする満、悩める人気者の雅人、
孤独な優等生の清野、姉御肌で給食が大好きな梢。
6人の中学生たちの揺れる心が、給食をきっかけに変わっていく。
やさしく胸に響くアンサンブルストーリー。
「七夕ゼリー」「マーボー豆腐」「黒糖パン」
「ABCスープ」「ミルメーク」「卒業メニュー」
の6品がつなぐ連作短編集です。
****************************************
給食要素は思ったより薄めなんだけど、
「なんか、久しぶりに重くないYA文学を読んだ気がする!!」という
新鮮味があった。
本当はそうでもないものもあるのだと思うけど、
職業柄、わたしが遭遇する最近の児童文学やYA文学って、
いじめとか病気とか不登校とか虐待とか身内の不幸とか、
重いネタが多いから……。
普通の中学生6人の日常を切り取った連作短編集で、
気軽にさらっと読める。
児童文学も新規性を出すために苦心してるんだなあ……というのは
常々感じていて、そういう努力ももちろん必要なんだろうけど、
「さんざん描かれてきたありきたりの話」が
リアルタイムで読んでいる小中学生にとっては「初めて」ということも
少なくないと思う。
少なくとも自分が中学生のときには、テーマ性の強いものより
日常の普通の話が読みたいと思っていたから、
こういう話に出会えたことがうれしい。