金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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26:岩波明『文豪は、みんなうつ』

2023-02-18 19:04:49 | 23 本の感想
岩波明『文豪は、みんなうつ』
★★★★☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
文学史上に残る10人の文豪――漱石、有島、芥川、島清、賢治、
中也、藤村、太宰、谷崎、川端。
漱石は、うつ病による幻覚を幾多のシーンで描写し、
藤村は、自分の父をモデルに座敷牢に幽閉された主人公を描くなど、
彼らは、才能への不安、女性問題、近親者の死、
自身や肉親の精神疾患の苦悩を、作品に刻んだ。
精神科医によるスキャンダラスな作家論。
 
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作業中に、Kindleの読み上げ機能で複数回に分けて聞いていた本。
 
まあ、普通に病むだろうな……と思う。
作家でなくとも、「考えすぎる」というのは危険なことだ。
四六時中休みなく何かを考え続けたら、精神にものすごい不可がかかるし、
生活をかけて、彼らはひたすら考えて、
作品世界と現実世界の二重生活を送っていたのだ。
おまけに今よりずっと文学者の私生活は世間に取り沙汰されていて、
日本社会全体の倫理観も洗練されていなかっただろうし、
社会保障も充実はしていなくて生活への不安は常にある。
遺伝的な要素や、個人的な家庭環境などの問題を差し引いても、
当時の知識人や作家というのは病みやすい人々だったのだと思う。
 
島田清次郎のこと、この本を読むまで名前すら知らなかった!
 

コメント
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