金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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19:内館牧子『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』

2023-02-06 21:43:57 | 23 本の感想
内館牧子『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
59もの会社から内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。
それに比べ、弟は頭脳も容姿も超一流。
ある日突然、『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、
皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。
一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。
雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する弘徽殿女御と手を組み
暗躍を始めるが……。エンタメ超大作! !
 
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映画化されたときに知った本。
なぜか最初、
「弘徽殿女御に目をつけるのは面白いが、いいかげんな話なのでは?」
と色眼鏡をかけて見ていたのだけども、
読み始めたら、意外にしっかりした内容。
 
光源氏の腹立たしいポイントはいっぱいあるが、
父や兄の愛する女たちを寝取り、父と兄をコケにしてるところが
いちばんムカつくんだよな!
あの兄と、その母サイドから源氏物語を再構築したところが
この本の面白いところ。
「愛される女」である桐壺更衣や藤壺女御に対する
冷ややかな視線は、確かにな……と思えるところも。
 
主人公は、語り口が鼻につくところはあれど、
最初は「ブス」と評した妻をめちゃくちゃ愛して
大事にしてるところに好感が持てる。
(妻の父の「大納言」という身分を「決して高すぎるものではない」と言ってるが、
 高いよ!! 陰陽師が婿入りできるような身分じゃないよ!!!)
彼の成長・救済の物語にもなっていて、読後感はさわやか。
 

コメント
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