吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

とりの刺身の食中毒 その1

2016年05月26日 06時04分06秒 | 日記
 東京都は平成28年5月16日、4月28日~5月8日に江東区青海で開かれたイベント「肉フェスお台場2016春」で提供された「ハーブチキンささみ寿司」を食べた8~41歳の男女49人が、下痢や嘔吐などの食中毒を発症したと発表した。

 これはカンピロバクターによる食中毒である。カンピロバクターは鶏の腸内にいるらしいが、食肉にした場合肉が汚染されることもある。また卵の殻から中に入り込むこともよくあるそうである。

 そしてとりのたたきの20~30%はカンピロバクターに汚染されているという。しかし腸炎として発症するのは菌量が1000~10000個ないと発症しないので、菌の量が少なければ発症しないものの、結局は菌を食べているのである。
 つまり結構な頻度で汚染されているが発症件数が少ないのは菌量が少ないためである。 
 卵の殻を通過して中にも入っているので生卵も本来は危ない。

 私は宴会で鶏のたたきが出ても箸をつけないようにしている。カンピロバクターと鶏のたたきが密接な関係であることは昔から既知のことである。

 不思議なことにユッケやレバ刺しが禁止されたにもかかわらず鶏のたたきが禁止されないのは如何なものなのであろうか? 肉表面を加熱してあっても汚染された手指や調理器具を用いれば、レバ刺しの汚染と同じだと思うのだが・・・。