まず18歳という活きのいい年代なので肺炎や気管支炎のひどいのに罹れば発熱やひどい咳・痰がでるはず。しかし今回の患者さんにはそれがなかったので3.のcoarse crackleは考えにくい。また患者さんは吸気性呼吸困難があるので教科書的には喉頭などの上気道病変を疑う。ということは1.の吸気性stridorというのが国家試験でも正解になる。ところが実際stridorが聴取されるほどの喉頭病変があれば窒息の可能性のある重度の呼吸困難であるため、この患者さんのような「通常通りの会話」などできるわけがない。実際この症例での聴診結果は2.の呼気性のwheezing(呼気性の呼吸困難)であった。典型的な気管支狭窄音である。患者さんの「息を吸うのが苦しい」という言葉とはうらはらの結果であった。どうやら「呼吸困難」のことを「息を吸うのが苦しい」と表現してしまったようである。危うくその言葉にとらわれるところであった。やはり患者さんや家族の訴えは100%妄信しないほうがよい。信じられるのは自分が診察した患者の身体所見なのであると思いを新たにした。(だから私は患者さんからの「電話相談」というのは嫌いなのである)
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