吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

結核感染拡大 その2

2016年05月13日 05時43分23秒 | 日記
 感染症予防法では、結核は第2類感染症に分類され、この疾患を診断した「医師」は「ただちに最寄りの保健所長に連絡する」という義務が課せられている。

 昔は結核予防法という法律であったが、近年この感染症予防法に組み入れられるようになった。昔は「7日以内」であったが、この感染症予防法になってからは「直ちに」届出という文言に変更になっている。
 実はこれは結核診療に携わる医師であれば常識でなくてはならない。もちろん結核とは無縁の各科医師であって、結核であると診断できなければやむを得ないが、診断がついたのであれば、医師の専門にかかわらず届出義務があるのでそうする必要がある。

 大学病院時代は結核/AIDSに関する委員をさせられていた。救命救急センターにはどんな感染症を保有しているかわからない患者さんが救急搬送されてきた。救命処置の中には高率に我々医療従事者に感染するようなものもあったので、院内でも「ハイリスクな職場」であると位置づけられていた。実際、入院後に結核やAIDSに感染していると分かってバタバタとしたこともよくあった。

結核感染拡大 その1

2016年05月12日 05時43分36秒 | 日記
 下記、ネットでの報道である。

渋谷署によると、平成27年2月11日に留置中だった男性=当時(63)=が死亡し、翌12日東京大医学部で解剖が行われた。東大は同年6月30日付で男性の死因は肺結核だとする報告書を作成。同署は8月25日に受領したが、いずれも保健所には報告しなかった。
東大は「警察から依頼された解剖だったので、報告は不要と考えていた」と釈明。渋谷署は死亡男性と接触があった署員らについて、前月までに実施した健康診断で異常がなく、不調の訴えもなかったことから、感染はないと判断したという。
しかし、同12月に留置場担当の職員が体調不良を訴え、今年1月に結核と判明した。調査の結果、留置場で接触したり解剖に立ち会ったりした署員計20人と、男性と数日間同室だった男性1人が感染し、うち7人が発症していた。東大の医師7人と、同じ部屋で行われた解剖に立ち会った本富士署の4人も感染していたことが判明した。

前田健 心臓突然死 その3

2016年05月11日 05時46分35秒 | 日記
 心室細動とは心臓の下半分がブルブル震える様な収縮になってしまうことである。これでは十分な血液量を送り出すことができないため数秒で意識を失うのである。
 心室細動とは平成14年、高円宮さまがスカッシュの最中に急死した不整脈である。
 当時慶応病院救急部の相川教授が記者会見で「病名は心室細動です」と述べた。自分の中では彼の発言は画期的なものであると驚いたものである。正確に言えば心室細動は病名ではない。心電図の波形の名称でしかない。何故彼が病名を言わず心電図所見を病名として言ったのか? 彼の発言の裏には「心室細動では、居合わせた人がすぐに心肺蘇生をおこない、かつ現場でのAEDをしないと救命できない。AEDを一般市民へ普及させるべき」というメッセージが込められていたのである。

 自分はあれを契機にして一般市民への普及啓発も加速化された・・と思いたいが、実際はあまり爆発的な広がりはなかった。
 高円宮久子妃が先頭に立ってAED普及啓発に尽力してくれるのかと思ったら何もなかったのにはガッカリした。
 今更、故高円宮が好きだったというサッカーの普及啓発でもないだろう・・・。後年、東京オリンピックの誘致スピーチに尽力したというのも悪くはないが、少しはAEDに目を向けてもらいたかったのである。

 彼の死が活かされていないのである。皇室はこんな泥臭い普及啓発活動には興味がないのであろうか?

前田健 心臓突然死 その2

2016年05月10日 05時51分55秒 | 日記
 前田健氏は以前から「不整脈があって手術を予定していた」と聞いた。不整脈で手術というのは推測であるが、「頻脈性不整脈をよく起こすため心臓カテーテルによる病巣部の電気焼却(アブレーション)」を予定していたと解釈される。

 残念ながら治療前に心室細動に移行してそのまま帰らぬ人となってしまったわけである。
 倒れた瞬間に目撃者がいて遅滞なく心肺蘇生とAEDがなされていればおそらく彼は助かっただろう。

 心室細動になった原因は種々様々と思われるが、東京マラソンで心停止となった(これも物まね芸人であるが松村邦洋は生還している。
 彼の場合は実は出走前からハイリスク・ランナーとして目をつけられていたらしい。自転車で伴走するAED隊の遅滞ない心肺蘇生と除細動が功を奏したのである。やはり時間が肝心である。

 一般的に心停止してから生存率は1分ごとに7~10%ずつ低下すると言われる。つまり10分放置されたら救命できる可能性はなくなるのである。いかにすばやい対処が重要であるかがわかる。

前田健 心臓突然死 その1

2016年05月09日 05時23分22秒 | 日記
 物まね芸人の前田健氏が4月26日に急死した。心臓突然死である。
 彼は物まね芸人という括りには入らないほどの芸達者であった。昔米国でダンス修行もしてきてレベルも高かったし最近の俳優業でもその才能を如何なく発揮していた。

 ニュースで聞いたとおりであるが、経過は典型的な心臓突然死である。通りがかりの医大生が心肺蘇生とAEDをかけたそうである。AEDは除細動が必要な波形の時にのみ通電される仕組みなので「除細動1回」という報道からすると、間違いなく、心室細動であったのである。

 TVのバラエティのコメンテーターが「えっ、AEDは一般市民でも使っていいのですか?」などと馬鹿なことを言っていた。
 そうじゃないのである。「AEDは一般市民が使うもの」なのである。心肺蘇生の普及に昔から携わってきた自分からすると15年前からまだあまり浸透していないのかとがっかりした。
くだんのコメンテーターの一般常識を疑った。こんな人はTVに出すなと言いたくなったのである。

昨日の自転車事故

2016年05月07日 05時36分32秒 | 日記
 昨日、東京での事件である。背中に7か月の乳児を背負った母親が自転車で走行中、乗用車と接触し転倒した。母親は軽症であったが背負った乳児は頭部を強く打ち死亡したとのこと。
 母親は信号待ちで停車していた車の間をすり抜けて対向車線にでたところ、対向車線通行中の乗用車と接触したとのことである。車の陰から自転車が飛び出してきたら乗用車もわからないだろう。でもこの乗用車の運転手は「逮捕」されたとのこと。

 なんともまあ痛ましい事故である。7か月の乳児の死亡とは悲惨である。現場の状況がよくわからないので断言はできないが、この母親の自転車走行はかなりルール違反で無謀な横断だったようにも思われる。
 ・・・でも運転手が「逮捕」なのである。7か月の乳児を抱っこ紐で背負って車の間をぬっての自転車走行とは、なんとも常識的ではないと思うのである。

 自動車の運転がどれほど「無謀」であったかは知らない。無謀だったからこその「逮捕」なのであろう。でも無謀な自転車横断でもあるような気もするが・・・。

 当事者たちには申し訳ないが、自動車を運転する自分にとって「明日は我が身か」とゾッとした。自分も現場でこのような自転車に遭遇していたらきっと「逮捕」されているであろう。

連休明け

2016年05月06日 06時26分43秒 | 日記
 さて皆さまは連休をどのようにお過ごしでしたでしょうか?

 連休の中日には大雨。午後からは晴れましたが、強風とものすごい紫外線であまり外出向きの天候ではありませんでした。

 まあとりあえず、月初めなので、先月分のレセプトチェックとたまった書類下記をやらざるをえませんでした。また先月から新診療報酬点数となったため、電子カルテの調整もしました。

 ま 結局、のんびりしたのは1日くらいでしょうか・・・。月末~月初めは必ず点数請求のためのレセプトチェックがあるので連休があってもあまり嬉しくはないんですけども・・・。

連休の谷間

2016年05月02日 05時26分22秒 | 日記
 本日はゴールデンウイークの谷間にある平日です。この日を休日にして最大7連休にできるような方もいらっしゃると思われます。
 先日、学会出席のため土曜日を休診にしました。その1か月前から患者さん一人ひとりにその日が休診であるビラをお渡ししていたのですが、やはり数人のかたから「せっかく来たのに休みだった」とお叱りを受けました。どんなに気を付けていてもやはりお知らせが漏れてしまう人もいるようです。

 なるべくカレンダーどおりの診療体制にしないと患者さんにご迷惑をおかけしてしまうのだなーと痛感しました。
 ですので、本日連休の谷間ですが診療します(キッパリ)。