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オバマ氏来日雑感とある疑問(竹島は?)

2014-04-25 00:55:24 | 日記
  写真は内容とは関係ありません。晩春の花と木々です。

 オバマ米大統領が国賓として来日しました。
 ここのところ、いささかぎくしゃくした感もある日米関係ですから、安倍首相としてはその修復と併せて自分のイメージ向上のため、かつての「ロン・ヤス」関係に近いものを目指し、その応対に力を注いだようですがどうなんでしょう。

 最初の夕食は高級寿司店での会食だったようで、翌日の記者会見で安倍氏は「オバマ氏が生涯で食べたもっとも美味しい寿司といった」ということを盛んに披露していましたが、どうも「楽しい夕食」とはゆかず(楽しげな様子は報道陣に写真を撮らせるまで)、その実態は以下のようだったらしいのです。

          

 「両首脳の関係を深める機会とされていた会食だったが、TBSの報道によると、大統領は世間話をしたり、すしに舌鼓を打ったりする間もなく、すぐに日米交渉の話を始めたという」

 「同店のすし職人、小野二郎さん(88)は、20貫ほどのすしを客の食べるペースに合わせて一つずつにぎる。だが〈すきやばし次郎〉と同じ雑居ビルの地下にある焼き鳥店の店主が〈次郎〉の店員から聞いた話としてTBSに語ったところによると、オバマ大統領はコースを半分ほど終えたところで箸を置いた。一方の安倍首相は完食したという。2人の会話はかなりフォーマルなものだったとされる」

          

 つまり伝えられる歓談とはいささか様子が違ったようなのです。
 ここでいわれている「日米交渉」とは主としてTTPをめぐる話しであることは容易に想像がつきます。ようするに、安倍氏は「楽しい夕餉」を演出したかったのでしょうが、オバマ氏の方は物見遊山に訪れたのではなくアメリカの国益を背負ってきたのだぞとばかりに実質的会談を求めたのでした。
 そして、それと並行して行われた甘利経済財政・再生相と米通商代表部のフロマン代表都の協議は翌24日の未明に至っても妥協点が見いだせない厳しいものでしたし、さらには24日午前の首脳会談、そして午後の協議を経ても結論を見るに至ってはいません。

 例えば日経は、「焦点は豚肉の関税だ。日本側は安い肉にかける関税をいまの4分の1以下にする譲歩案を検討しているが、さらなる引き下げを求める米国とはまだ開きがある」と伝えています。

          

 一方では、日本側が大きな成果として喧伝していることがあります。
 それは米側が、尖閣列島を日本の領土であり、したがって日米安保条約の適用範囲内に入ることを認めたということです。ということは、万一、尖閣で日中の衝突があった際、米軍の出動もありうるということです。なんかどんどんきな臭くなってきますね。

 しかし、一部で指摘されているように、これには幾分の疑問が残ります。
 というのは、あんな岩山だけの無人島のために、米軍が出動することをアメリカの世論そのものが許容するかということです。しかもここでの衝突は、この無人島に限定されず、下手すれば米中の全面衝突にもなりかねないのです。これはたんなる対中牽制かあるいは実質を伴わないリップ・サービスにすぎない可能性があります。

          

 そして、その代償が「集団的自衛権」のなし崩し的容認だとしたら(それは大いにあり得るのですが)、すでに指摘されているように、憲法の土台を揺るがしかねない大問題だといわねばなりません。
 さらには、TPPでの大幅譲歩もその代償の一部だとしたら、そのもたらす影響も無視できません。日経が伝えるように、日本側が準備しているという「豚肉にかける関税をいまの4分の1以下にする」という案だけでも畜産農家にとっては大きな痛手になりそうなのです。

 安保条約の適用についてはもうひとつの疑問が残ります。
 尖閣と並んで日本が領有権を主張し、実質的には韓国軍が実効支配し駐留している竹島(韓国名 独島)はどうなるのかということです。
 これが日本が主張するように日本の固有の領土であるとするならば、当然、尖閣同様、安保条約の適用範囲であり、したがって米軍は日本とともに現在駐留している韓国軍の排除を行ってしかるべきだということになります。

          

 しかし、もちろんこれはないでしょうね。
 ということは、アメリカはこと竹島に関しては日本の領有権を認めていないことになるのではないでしょうか。
 いずれにしても、尖閣と竹島の扱いには矛盾というかズレがあります。にも関わらず、あれほど、「竹島、竹島」といいたてている人たちがこの問題にはまったく触れようとしないのはなぜなんでしょうか。

 オバマ氏来日に関して思いつくままに書いてきましたが、氏の来日はそんなに甘いものではなく、アメリカの国益と、オバマ氏自身の米国民への政治的威信をかけているという点でとても真剣なものであったと思います。
 それは、安倍氏の「おともだち」感覚をはるかに凌駕するものであり、その内閣や、さらには官僚たちがどう太刀打ちできるのか、その成果が喧伝される割には、問題はなお投げかけられたままのようなのです。
コメント (2)
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