過日、名古屋に出ました。
久々の機会でしたので、つい映画のはしごをしてしまいました。
その日、逢うことになっていた友人との約束の時間がけっこう遅かったので、その前座の意味もありました。
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しかし、もちろん自分で選んだ映画であったものの、それらがけっこう重くて、簡単には語れそうもありません。
観た映画のみ掲げておきます。
ひとつは『ある過去の行方』(アスガー・ファルハディ監督 フランス/イタリアの製作だが監督はイラン人)。玉葱の皮をむいてゆくように事実が明らかになってゆくのですが、それぞれの事実が人間の実存に根ざした虚実の狭間にあって、曰く言い難い映画でした。
もうひとつは『パラダイス:神』(ウルリヒ・ザイドル監督 オーストリア)。狂信的で突撃的なカソリック信者の女性と、事故で半身不随になった回教徒の夫との物語。これもまたおぞましくも重い映画でした。
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風邪上がりで体調も優れない中での重い映画の二連発で、心身ともに疲れてげんなりしていたのですが、最後の出会いがよくて救われました。
だいたいが夜型人間で、夜が更けるほど尻上がりに好調になるのですが、その日逢った友人との話題もいろいろ応答のしがいがあり、ワインの美味しさもあって心地よい会話になりました。
で、岐阜駅から自転車を駆って、アメリカ・ハナミズキの並木道を通りながら、その日一日を反芻しながら帰途についたわけです。
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在来種のハナミズキ=山法師
ということで、話は突然ハナミズキになるのですが、いまハナミズキといわれ、街路樹などにされているもののほとんどはアメリカ・ハナミズキです。
なぜ、アメリカが付くかというと、アメリカから、とくに日本からのソメイヨシノとの交換大使のように送られてきたからだそうですが、そう形容しなければならないということはアメリカ産ではない在来種のハナミズキがあるからです。
在来種のハナミズキは別名、ヤマボウシ(山法師)といわれ、都市郊外の山林でも見られ、また、アメリカのものが入ってくる前は、園芸種として庭なども飾っていたようです。
ただ、この在来種の花の色は白一色で、アメリカからのものの白、赤、ピンクなどの彩りの鮮やかさに押されてしまって、あまり目立たなくなっているようです。
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上がアメリカ・ハナミズキ 下が在来種
さて、色彩以外のその違いです。まず花についてですが、私たちがハナミズキの花だと思っているのは、実は総苞といって花を包む葉のようなもので、本当の花は中心部のポチポチッとした部分のようです。
これはアメリカ産も在来種も一緒なのですが、この私たちが花びらだと思っている総苞の形がこの両者では違うのです。
ともに4片の総苞からなっていますが、アメリカのそれは先端が割れているのに対し、在来種のそれは先端が尖っています。
その他、幹の様子も違うようですが、いちばんの違いはその実です。色彩はともに赤ですが、アメリカのものが楕円形の縦長で表面がすべすべした実をつけるのに対し、在来種は茎が長くてまんまるで、その表面に昔の水雷(っていっても若い人にはわからないかも)のような突起が付いているのです。したがって、アメリカ産が上を向いた実をつけるの対し、在在来はぶら下がるように実を付け、その大きさもはるかに大きいものです。
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上がアメリカ・ハナミズキ 下が在来種
私はかつて、そんなことは何も知らなかったずいぶん前、岐阜公園でこの実が鈴なりになっているのを見て感動し、公園の手入れをしているおばさんに、「これは何の実ですか」と尋ねたことがあります。「あ、これね、これは山法師。今年はよくなったね」と教えてくれたのです。
しかしです、私はこの山法師がいわゆるハナミズキと同じものであることはつゆ知らず、「へ~、山法師ってこの実になんかよく合った名前で面白いなぁ」と当時は思ったのでした。
いまはもう、上に書いたように分かっていますよ。
*山法師の花は名古屋の熱田区役所の入り口のものです。
山法師の実は、岐阜公園へその後、撮しにいったものです。
久々の機会でしたので、つい映画のはしごをしてしまいました。
その日、逢うことになっていた友人との約束の時間がけっこう遅かったので、その前座の意味もありました。
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しかし、もちろん自分で選んだ映画であったものの、それらがけっこう重くて、簡単には語れそうもありません。
観た映画のみ掲げておきます。
ひとつは『ある過去の行方』(アスガー・ファルハディ監督 フランス/イタリアの製作だが監督はイラン人)。玉葱の皮をむいてゆくように事実が明らかになってゆくのですが、それぞれの事実が人間の実存に根ざした虚実の狭間にあって、曰く言い難い映画でした。
もうひとつは『パラダイス:神』(ウルリヒ・ザイドル監督 オーストリア)。狂信的で突撃的なカソリック信者の女性と、事故で半身不随になった回教徒の夫との物語。これもまたおぞましくも重い映画でした。
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風邪上がりで体調も優れない中での重い映画の二連発で、心身ともに疲れてげんなりしていたのですが、最後の出会いがよくて救われました。
だいたいが夜型人間で、夜が更けるほど尻上がりに好調になるのですが、その日逢った友人との話題もいろいろ応答のしがいがあり、ワインの美味しさもあって心地よい会話になりました。
で、岐阜駅から自転車を駆って、アメリカ・ハナミズキの並木道を通りながら、その日一日を反芻しながら帰途についたわけです。
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在来種のハナミズキ=山法師
ということで、話は突然ハナミズキになるのですが、いまハナミズキといわれ、街路樹などにされているもののほとんどはアメリカ・ハナミズキです。
なぜ、アメリカが付くかというと、アメリカから、とくに日本からのソメイヨシノとの交換大使のように送られてきたからだそうですが、そう形容しなければならないということはアメリカ産ではない在来種のハナミズキがあるからです。
在来種のハナミズキは別名、ヤマボウシ(山法師)といわれ、都市郊外の山林でも見られ、また、アメリカのものが入ってくる前は、園芸種として庭なども飾っていたようです。
ただ、この在来種の花の色は白一色で、アメリカからのものの白、赤、ピンクなどの彩りの鮮やかさに押されてしまって、あまり目立たなくなっているようです。
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上がアメリカ・ハナミズキ 下が在来種
さて、色彩以外のその違いです。まず花についてですが、私たちがハナミズキの花だと思っているのは、実は総苞といって花を包む葉のようなもので、本当の花は中心部のポチポチッとした部分のようです。
これはアメリカ産も在来種も一緒なのですが、この私たちが花びらだと思っている総苞の形がこの両者では違うのです。
ともに4片の総苞からなっていますが、アメリカのそれは先端が割れているのに対し、在来種のそれは先端が尖っています。
その他、幹の様子も違うようですが、いちばんの違いはその実です。色彩はともに赤ですが、アメリカのものが楕円形の縦長で表面がすべすべした実をつけるのに対し、在来種は茎が長くてまんまるで、その表面に昔の水雷(っていっても若い人にはわからないかも)のような突起が付いているのです。したがって、アメリカ産が上を向いた実をつけるの対し、在在来はぶら下がるように実を付け、その大きさもはるかに大きいものです。
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上がアメリカ・ハナミズキ 下が在来種
私はかつて、そんなことは何も知らなかったずいぶん前、岐阜公園でこの実が鈴なりになっているのを見て感動し、公園の手入れをしているおばさんに、「これは何の実ですか」と尋ねたことがあります。「あ、これね、これは山法師。今年はよくなったね」と教えてくれたのです。
しかしです、私はこの山法師がいわゆるハナミズキと同じものであることはつゆ知らず、「へ~、山法師ってこの実になんかよく合った名前で面白いなぁ」と当時は思ったのでした。
いまはもう、上に書いたように分かっていますよ。
*山法師の花は名古屋の熱田区役所の入り口のものです。
山法師の実は、岐阜公園へその後、撮しにいったものです。