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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

無数で異常ともいえる繁殖 そして自然の輪廻

2019-02-16 01:53:00 | よしなしごと
 小動物などが、大量に異常繁殖することがある。
 アフリカやアメリカ大陸のバッタ、日本のウンカ、長野県の小海線をしばしば停めてしまうキシャヤスデ(これって汽車を停めてしまうのでこう名付けられたのだろうか)、日本海でのクラゲ、などなど、世界中で時折、起こる現象だろう。

 それに近いものを間近で見ることができた。
 いつも郵便局に行く折に通る、春には両岸に桜が咲くさほど大きくない川である。水は昔はいざしらず、近年はとてもきれいで、大体は瀬状でサラサラ流れる感じだが、ところどころに淵のような深場があって、そこで見かけたものである。

        
 さほど広くないその場所に、2,3cmほどのハヤかモロコの稚魚がたむろしているのである。
 その数はおそらく万単位。
 二枚目の写真にある青いコートの男性が用意してきたパン屑を投げると、水中に小魚の山が出来上がるようにわ~っと群がる。この一山だけでも万余の数で、その圏外にもかなりいるから、もうかなりのものだ。ただただ、「たくさん」という他はない。

 私はこの場所をよく通りかかり、子どもたちがこの場所で釣り糸を垂れているのは何度も目撃しているが、こんなに無数の魚群を見たことはない。そこでその、青いコートの男性にインタビュー。
 
        
 「これは異常発生でしょうか」と私。
 「いや、毎年だよ」と男性。
 え、え、え?毎年!
 「もう長年ここをよく通りますが、はじめて見ました」と私。
 「そうかもしれんね。しばらくすると消えるから」
 「え?消える」
 「もうしばらくすると、川鵜が何羽かやってきて、みんな食い尽くすんだよ」と男性の説明。

 そうなんだ。そこでほとんどが食い尽くされて、運良く残ったのがここで成長し、それを目当てに子どもたちが釣り糸を垂れていたのだ。

        
 それにしてもこの数は異常だし、それを一日にして食い尽くす川鵜の食欲も旺盛だ。
 ここにもまた、私の知らない自然の輪廻があったのだ。

 ところで、川鵜はいつ来るのだろう。今度ここを通りかかった折にはまだこの恐ろしいほどの魚群は健在だろうか。

 それにしても、ほんの2,3cmとはいえ、これだけの数が密集すると、荘厳であり、畏怖に近い感情を覚える。世の中に疲れ、自然に身を癒やすなどというが、その自然自体が、想像を絶するような「他者性」をもって迫ってくることがあるのだ。

 明日にでも見に行きたいし、なんだか見に行くのが怖いような気もする。

コメント
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