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「旧市街」ではないワルシャワ「旧市街」 八五歳のヨーロッパ一人旅

2024-08-15 11:34:11 | 旅行

 厳密にいえばワルシャワに旧市街はない。なぜならここのかつての街は第二次世界大戦の激戦によって徹底的に破壊されつくされて、そんなものが残る余地がなかったからである。

       

 最初に掲げた写真は、2002年公開の映画、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』のラストに近いスチール写真である。これだけ破壊し尽くされた街のどこに旧市街が残る余地があったろう。
 にもかかわらず、旧市街は存在する。それはワルシャワの市民たちが、瓦一枚欠けることなくかつての街を復旧させようとしたからである。そうして出来上がったのが現在の旧市街である。

          

      
 だから、いうなれば「新市街」なのだが、ワルシャワ市民はその地域に下手な近代化が侵入するのを拒んできたので、その意味ではどこの旧市街よりも旧市街的なのである。そうしてたワルシャワ市民の意を汲んで、1980年、ここは世界遺産に選定された。
         
      
 私はこの街に北側のバルバカンから入った。バルバカンというのは、赤レンガ作りの旧王城の守護砦であるが、それ自身ひとつの城郭のようにも見える。
 それ以南がいわゆる本格的な旧市街なのだが、それらが素晴らしい。広場にはいくつかのテント張りの店があり、物品販売やレストランなどがひしめいている。
 
          
      
          
 歩き疲れ、喉も乾いていたので、そのうちの暇そうなテント張りの店で退屈そうにしていた学生アルバイト風な学生に声を掛ける。「One beer only , OK?」「Yes.」と頷き、生ビールを注いでくれる。「お前は日本人か?」というので「そうだ」というと「日本のアニメが大好きだ」という。かわいそうに彼はもっともふさわしくない日本人に出会ったのだ。私はアニメのことはからっきしわからない。

           
 話題を逸らす。お互い、わかったかわからなかったかよくわからない会話を交わし、店を出る。端数をチップに置くと、それはビール1杯分のチップを超えていたので大いに感謝される。
           
          
          
 
 旧市街は面白い。権威のありそうな建物は聖ヨハネ大聖堂(手前)で、それと壁を共有するように建っているのがイエズス会の教会だ。その辺りの通りも雰囲気がある。

         
      
           
 やがて王宮と王宮前広場に至る。広場の中心には高い円柱の上にジグムント三世の像が。この王様、17世紀には東奔西走と活躍し、ついにはモスクワのロシア王朝をも支配下に置いたことがあるとのことだ。

       
 広場の南の堂々たる建物は、カソリック教会の聖堂という。ヨーロッパでのキリスト教の力は大きいのは常識だが、70年にわたるスターリニズム支配下をくぐり抜けてもその勢力はいささかも変わらなかったようだ。
       
 王宮前広場から見える風景のひとつに、ワルシャワのサッカー場がある。カメラのレンズの関係ですぐ近くに見えるが、実はこのサッカー場はワルシャワ市の東を流れるヴィスワ川の向こう岸(東側)に位置する。
 このヴィスワ川を巡って、ワルシャワ市民には忘れ難い悲劇がある。
 1944年のその悲劇については次回書きたい。

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