きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

父の採血

2013-10-07 | 父の記録と母の思い出
父の病院では、これから採血をする所だと言う。

カーテンの向こうで採血が終わるのを待っていると、父の「いたいです、いたいです」「もうやめてください」と言う声が何度も聞こえてくる。(血管を選ぶのも血を採るのも大変なのだと思う。)

父の部屋は二人部屋で、その間、私はもう1人のお年寄りのベッドの脇に立っていた。そこにはそのおじいさんの元気だった頃の写真や家族の写真がたくさん飾られている。
孫を抱き上げている写真。
孫と並んで撮っている写真。
大好きだったのだろう、山登りの写真。

ここのおじいさんは、この写真を毎朝見て起きているのだろうか。
そして家族の事を思い出しているのだろうか。

父もこんな元気な頃があったなぁと思うと、それだけで涙が出てきてしまう。
お孫さんの写真はkekeの小さい頃も思い出す。
困ったものだ。
箸が転げても笑う年頃と聞くけど、箸が転げても涙が出てくる。

父は終わっても顔をしかめたまま目をつぶっている。
足の傷からバイキンが入ってしまい、今は抗生物質の点滴も必要なようだ。
父の足はこんなに細くなってしまった。
もう二度と体重を支えることはないだろう。
 
今日は最初から最後まで昼食につきあった。
一時期ほんとに口を開かず、食べさせるのが容易でなかった時期があったのだが、ここ数週間は口をあけるようになった。但し、お茶や汁物(両方ともとろみがついている)を交互に食べさせないと口をあけない。

それでもほとんど食べさせることができたが、もうあと少しの所で眠ってしまって、口を開けなくなってしまった。食事が進まなくなってもゼリーなら食べるだろうと思って、好きなゼリーを残しておいたのに、それを半分も食べないまま眠ってしまった。

でも、だいたい食べたので帰ることにした。
車に乗ってしばらくしてから、自分のカーディガンを車椅子に掛けたまま置いてきたのを思い出し、また引き返した。

父の食事はもう片付けられていた。
だいたい食べ終わっていたから当然と言えば当然なのだけど、残りのゼリー、もうちょっと待って食べさせてあげたらよかったのかな。

でももう父は「sakeだよ」と言っても天井を見たまま振り向くことも無いし、ゼリーもたぶん分かってないのかもしれない。そんな姿を見るたびに、「自分はここまでになったら、無理に生きてなくても」と思うのだが、これはこれで両親を見つめる大切な時間のような気もする。

今になって、自分が大切にされていたことを素直に受け止められるようになったのだ。