今日はラグビー大学選手権の決勝でした。関東対抗戦1位の帝京大と関西リーグ1位の天理大との対戦でした。
二連覇中の帝京大は強力FWを擁し下馬評通り、盤石の決勝進出です。一方の天理大は初の決勝進出でしかも軽量FWとあって、判官びいきの私としては断然天理大を応援です。
すると、前半の序盤、ボールを動かした天理大バックスが相手ディフェンスを抜いてトライを決めて先制しました。しかし、圧倒的なFW陣の帝京大は終始ボールを支配すると、2トライを決めて、12対7と逆転して前半を終えました。
後半に入っても、圧倒的に帝京大がボールを支配しますが、天理大もしっかりしのいで点が入らないまま、終盤に入りました。すると…、残り10分を切ったところで、再び天理大がボールをつないで相手ゴールに迫り、最後はウィングが右隅に飛び込んで、何と何と同点としました!
これまで強力FWの攻撃をしのいできた天理大ですから、何とかこのまましのいで両校優勝かと思いましたが、何と本当に終了間際に、自陣前での密集で痛恨の反則を犯してしまいまいました。帝京キッカーも緊張していたのか、ゴールポストに当たるギリギリのキックでしたが、何とかペナルティキックを決めて、15対12で逆転優勝で三連覇を決めました。天理大は、千載一遇のチャンスを逃し、本当に残念でした!
帝京大は確かに強かったです。しかし、15対12という僅差の好試合を演出したのは、天理大のよく考えた組織的な守備と、わずかなチャンスをものにした攻撃力であり、帝京大自体のラグビーは、まったくの凡戦でした。
ボール支配率は、常に7割以上を帝京大がキープしていました。しかし、それはFWの優位を活かしてラックを作っては時間をかけてキープし、なかなかボールを出さず、やっと出たと思ったら、モールで押して、倒れるとまたラックを作って、たっぷり時間を使って…の繰り返しだったからです。
天理大の方はそれを研究済だったようで、ラックに大人数が巻き込まれて次の攻撃へのディフェンスが手薄にならないように、密集への人数は常に最小限に抑えていました。
それに対して、帝京大は自慢のFWに対する自信でしょうが、先に書いたように、ラック、モールの繰り返しでまったく工夫が見えませんでした。そして、たまにバックスに回すと、シーズン中から回し慣れていないのか、まったくきれいにつながりませんでした。
強みもやりすぎると、弱みになります。帝京大のFWだけにこだわった今日のラグビーはまさにその通りでした。そして、何よりもFW頼みで、動きのないラグビーはまったく面白くありませんでした。もっと上手にバックスを使って、天理大ディフェンスを疲れさせれば、もっと点もとれたでしょうし、その後のFW攻撃も効いたはずです。何よりも観る人を魅了するラグビーが出来たはずです。
今日は、同志社大に続く三連覇がかかったゲームだというのに、スタンドは空席が目立ちました。今大会は、ベスト4で早慶明という伝統校が姿を消したということがあり、人気の面では懸念された通りになりましたが、こうしたこを払拭するには、ただ勝てばいいということではないと思います。やはり、見る人の胸を打つようなラグビーをすることが必要だろうと思います。
早稲田の展開ラグビー、明治の重戦車、慶應の魂のタックルと、それぞれの代名詞が伝統です。伝統とは、ただ年月を重ねたということではなく、人を魅了してきた歴史です。帝京大が今後、伝統校に名を連ねるには、強力FWを使ってどんなラグビーをするかが、今後の課題でしょうね。