鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

Vol.124『ユダヤ教とシナゴーグ』(9章)

2006年03月10日 | ヨハネ伝解読


~~今回は、シナゴーグというユダヤ教の会堂とユダヤ人社会の有様をのぞいてみましょう。

                    

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=聖句=

「近所の人々や、彼がもと、乞食であったのを見知っている人々が言った『この人は、座って乞食をしていた者ではないか』ある人々は『その人だ』といい、他の人々は『いや、ただあの人に似ているだけだ』といった。しかし、本人は『わたしがそれだ』といった。・・・・(中略)・・・人々はもと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った」(9章8~13節)
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 盲目の男が見えるようにされた。これは一大ニュースでした。近所に住んでいた人たちは「この男は盲目だったのに!」と、驚きます。うわさは速やかに広がったでしょう。

 誰が癒したか?
こんなことをするのは、「あの男、イエス」以外にありません。

 イエスは、民族伝統のユダヤ教と違った聖書(旧約)解釈を教えていました。
その教えに目を開かれた気持ちになって、ついて行くユダヤ民衆も少なくなかった。
これはパリサイ派のユダヤ人にとって問題でした。

 加えてこの男イエスは癒しを、安息日にやりました。
安息日はユダヤ教では働いてはならない日でした。

~~ユダヤ教の常識を無視するも甚だしい。
国家宗教に挑戦するのか。
とにかく、イエスは彼らにとって問題児でした。

                    
                    


<シナゴーグ>

パリサイ派の僧侶たちは、事実確認のために癒された男をシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で、審問しました。

 (その場所がシナゴーグであったことは、後の34節になってわかってきます。そこには次のような状況が記されています~~「癒された男は、尋問に対する応答が、僧侶たちのお気に召さなかったが故に、会堂から追い出された」)

 ユダヤ人は、当時すでにマケドニアやギリシャやローマの各地にも居住していました。彼らは、3人集まればシナゴーグを建てると言われていたそうです。

 シナゴーグは第一にはユダヤ教の礼拝を持ち、聖書を読むための場所でありました。が同時にそこは彼らのコミュニティーの会合場所、情報の伝達場所でもありました。

 問題のある人間は、そこで僧侶によって尋問され、裁きを受けました。有罪となれば刑を受けたり、軽い場合は、会堂を追い出されて立ち入り禁止処分を受けたりしました。一種の村八分ですね。

 ヨハネは、そこに紛れ込んでいたのでしょう。
だから、僧侶と癒された男との会話、僧侶と男の両親との会話を、聞くことが出来ました。
それを自らの福音書に記録しているわけです。

                    


ユダヤ人は、どこの国に移住しても自民族の共同社会にがっちりまとまって生活している、といわれても、イメージがわきませんね。現代我々がよく眼にするユダヤ人は、ハリウッド映画に出てくるユダヤ人ですけから。この人たちの行動様式は、通常のアメリカ人、いわばアングロアメリカンと変わりないですよね。

 だが、彼らは「正統」ユダヤ人からしたら、外れものの例外的存在なのです。ユダヤ社会を離れたコスモポリタン(世界人)的なユダヤ人といったらいいかな、そういう人々です。彼らには、正統なユダヤ人コミュニティーから放逐されたり、自ら離れたりした人も少なくありません。

 正統派は閉鎖的なユダヤコミュニティーで生活します。それはヨーロッパ人からしたら、異質な、場合によっては異様な感じを受ける集団です。そこで欧州の諸都市では、自然に、彼らは隔離されたあ一カ所に集まって住みました。このいわゆるユダヤ人街は「ゲットー」と呼ばれていました。

 この用語は意味が拡大して、ナチス・ドイツの強制収容所を指したり、さらにはアメリカの都市で少数民族が集まって暮らす街をさしたりして用いられるようになりました。で、そういう町は、概して貧しいスラム街になりがちですので、ゲットーは米国ではスラム街をさす用語にもなりました。

                    


 がともあれ、正統なユダヤ人社会では人々は異様なほどの結合をして暮らします。その彼らのコミュニティーの集会場所がシナゴーグです。ここから放逐され、立ち入り禁止になるというのは、もう、日本で言えば村八分以上の、大変な処罰なんですね。


                      


コメント
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