アメリカ憲法の草案が合意にいたるまでに論議された課題、その吟味の詳細さ入念さ、
注入された日数とエネルギー、そこに働いた知性、経験、政治技術、人格のいずれをも兼ね備えた
数多くの人々~これらはいずれも後年歴史家に驚異の目でみられることになります。
入植後二百年足らずの植民地に、どうしてこれだけの知性がそろったか。
ここには聖句主義活動が形成する特有の知的土壌が働いているように思われます。
米国でのそれを裏付ける資料を筆者は持ち合わせていませんが、
英国のケースでは若干の情報があります。
バプテスト聖句主義者とわかっている知性に、まず『失楽園』の著者ミルトンがいます。
彼は盲目にしてこれを書いています。
『ロビンソン・クルーソー』を著作したダニエル・デュフォーも英国バプテストです。
キリスト教文化圏では聖書に次いで読まれている本『天路歴程』の著者バニヤンもそうです。
彼は聖句主義信仰の故にブラッドフォードの牢獄に入れられている間にこれを書きました。
このような知力・文章力が聖句吟味の土壌から生まれているのです。
万有引力の発見者であり微積分学の創始者ニュートンも聖句吟味活動を入念にした人です。
彼にバプテスト聖句主義教会とのつながりがあったかどうかは不明ですが、
こうした科学的発見の前に彼は旧約聖書の中の『ダニエル書』と新約聖書における『黙示録』
の解読書を書いているといいます。
そのための聖句吟味は万有引力の法則などのアイデアにまちがいなく貢献しているでしょう。
微積分学の基になる無限大の概念も聖書由来のものです。
憲法成立のために非常な働きをした人には、マディソン、ジェファーソンら
聖句主義者そのものでない人もいます。
だがこういう「感性を伴った知性」が育つにはやはりバイブリシズム土壌の影響が伺われます。