鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

Vol.111「14章 合衆国憲法を成立させる」(3)~聖句主義土壌による知性か~

2012年04月01日 | 「幸せ社会の編成原理」

       


アメリカ憲法の草案が合意にいたるまでに論議された課題、その吟味の詳細さ入念さ、
注入された日数とエネルギー、そこに働いた知性、経験、政治技術、人格のいずれをも兼ね備えた
数多くの人々~これらはいずれも後年歴史家に驚異の目でみられることになります。

入植後二百年足らずの植民地に、どうしてこれだけの知性がそろったか。
ここには聖句主義活動が形成する特有の知的土壌が働いているように思われます。
米国でのそれを裏付ける資料を筆者は持ち合わせていませんが、
英国のケースでは若干の情報があります。

バプテスト聖句主義者とわかっている知性に、まず『失楽園』の著者ミルトンがいます。
彼は盲目にしてこれを書いています。
『ロビンソン・クルーソー』を著作したダニエル・デュフォーも英国バプテストです。

キリスト教文化圏では聖書に次いで読まれている本『天路歴程』の著者バニヤンもそうです。
彼は聖句主義信仰の故にブラッドフォードの牢獄に入れられている間にこれを書きました。
このような知力・文章力が聖句吟味の土壌から生まれているのです。

万有引力の発見者であり微積分学の創始者ニュートンも聖句吟味活動を入念にした人です。
彼にバプテスト聖句主義教会とのつながりがあったかどうかは不明ですが、
こうした科学的発見の前に彼は旧約聖書の中の『ダニエル書』と新約聖書における『黙示録』
の解読書を書いているといいます。

そのための聖句吟味は万有引力の法則などのアイデアにまちがいなく貢献しているでしょう。
微積分学の基になる無限大の概念も聖書由来のものです。

憲法成立のために非常な働きをした人には、マディソン、ジェファーソンら
聖句主義者そのものでない人もいます。
だがこういう「感性を伴った知性」が育つにはやはりバイブリシズム土壌の影響が伺われます。



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Vol.110「14章 合衆国憲法を成立させる」(2)~バージニア、憲法草案作成を先導~

2012年04月01日 | 「幸せ社会の編成原理」

   

     
        

憲法案会議は5月29日から9月17日までフィラデルフィアで開催されました。
議長はバージニアのジョージ・ワシントンでした。

新国家で憲法案を作るというのは、白紙のキャンパスに絵を描いていくような作業です。
中央政府の構造を描くだけでもも数多くの課題がありました。

大統領制にすべきか議院内閣制にすべきか、議会は一院制にすべきか二院制にすべきか。
立法、司法、行政の関係はどうすべきか。
大統領に議会の立法に対して拒否権を与えるべきか、
与えるとしたら絶対拒否権か、あるいは議会にくつがえす余地を与えるべきか
~等々限りがないようにみえました。

これらを個々別々にではなく、理想とする国家の全体像の中で適切に決めていくのは超難問でした。

ところがバージニア州代表団は会議のための決議案(バージニア決議案)を準備していて、
これを手回しよく初日から提示しました。
そこには連邦政府の構造案が示されていました。
委員会はこれを討議する形で進めることができました。

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もう一つの大課題は中央政府と各州との権限配分に関わるものでした。
これについてもバージニアはまたも手回しよく、統一国家政府案(バージニア決議案報告)を
6月13日に提出しました。
そこには連邦政府と各州との関係を中心にして新しい統一国家政府としての連邦政府が
描かれていました。

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州の前身は地域植民地で、各々の独自の体制で統治していた統治体でした。
連邦政府案はその権限の一定部分の委譲を求める案ですので、
こういうものを前もって熟慮してこなかった者は、はじめて聞くと強い危惧を抱くものです。

バージニアが決議案を出した二日後の15日にニュージャージー州が、
各州に主権を保持させたままでの連邦政府の案をニュージャージ決議案として提出しました。
それは「強力な連邦政府のための案」と題されていましたが、
実質はバージニア案よりも「強力でない」中央政府の案でした。

けれども委員会は両案を巡っての論争を数日間続けました。
米国人はこういう時には徹底的にやるんですね。後年福沢諭吉がこれをみて驚嘆し
『西洋事情』に書いています。

13州は各々中央政府にどれだけの権限を委譲すべきか。
各々の州の立場から主張がなされ大激論になりました。
そして6月19日、会議は7州対3州でニュージャージー案を否決し、
バージニアの統一国家案をベースに案を作成することになりました。

外国との条約の締結はどうすべきかの案も作られました。
憲法草案の批准はどういうルールでなすべきかも議論され、
十三州のうち九つの州が批准したらそれは憲法として成立すると決められました。

こうして成立した憲法法案は、各州議会での批准にゆだねられることになりました。



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Vol.109「14章 合衆国憲法を成立させる」(1)~大枠手順を決める~

2012年04月01日 | 「幸せ社会の編成原理」

   



この章ではアメリカ合衆国に最初の憲法の大枠が確立する様と、
そこにおける聖句主義者の奮闘を示します。
     
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バージニア州で信教自由がなった二年後の1787年、新独立国は憲法制定の作業に入りました。
全州が参加する連合会議が成立し、そこに憲法草制定会議(憲法制定全体委員会)が
立ち上がりました。

会議の開催にはバージニアを中心としたバプテスト聖句主義者の全国ネットワークが
主導的に働いたでしょうし、その運行は間違いなく彼らが主導しました。

憲法成立に至るまでには大きなステップが二つありました。
憲法草案を作成すること、そして法案が大半の州で批准(同意、承認)されることがそれでした。

憲法草案には三つの骨子分野がありました。
第一は、中央政府をどのような構造にするか。
第二は、中央政府と各州との権限配分をどうするか。
そして第三は、国家の宗教(教会)活動をどうするかでした。

第三の宗教のありかたについては激しい議論紛糾が予想されました。
この案を最初から決定しようとすれば案の合意すらも難しくなるだろう。
そこでこれを除いた憲法案でまず合意をえてそれを批准に持ち込み、憲法が成立したら
その後に憲法修正会議を開いて宗教政策は吟味しようという手順になりました。

第二の中央政府と各州との権限配分の問題も大紛糾が予想されましたが、
これを取り決めないでは憲法案にはなりません。
そこで詳細な点は後にして、まず基本骨子部分の案はつくることになりました。

そうして出来た案の批准をまず各州に問おうという手順になりました。


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