さらに一般理論を求めて進みましょう。
ピラミッド状に上部に権力統治体を造って「命令=服従」の方式で社会を運営する方式が
管理階層システムです。
対して、命令系統なしで成員の相互連携だけで集団の一体性を維持していく方式が
任意連携システムです。
従来人々は両システムは背反関係にあるから二者択一にしかなり得ないと思ってきました。
だから管理階層システムの統治者は聖句主義者の撲滅につとめました。
そうすることが社会のためだと信じてつとめました。
無政府主義者という非難はその口実の一つという面もありました。
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ところがバイブリシストはそれらは組み合わせて共存させられるということを証明しました。
迫害に耐え続けて任意連携空間を存続させることによって、併存できることを
結果的に実証してしまった。
そしてついには国家という社会のなかでそれができることを実証しました。
政教分離による信教自由国家は二つのシステムの併存を憲法で保障した社会でもあったのです。
こういう国家の出現が人類社会に貢献するところはとても大きいです。
管理階層システムは国家運営の大枠として必要です。だが、成員の精神活力には害を与えます。
それは「考えない空間」に成員を置くことによって知性を劣化させ、ひいては集団組織全体を
劣化させていきます。
他方、任意連携システムは「考える空間」「自由な精神活動を可能にする空間」を作ります。
それが管理階層組織に内包されると、管理階層システムによって劣化させられる知性を回復させる空間、救済する空間が集団内に出現することになるのです。
信教自由国家は、そういう回復力を備えた社会集団が抑圧されることなく芽生え存続できるような
法的保障をも与えます。
そういう国家が存在できていることが、他の国家にとって目指すべきモデルをプレゼントすることになる。
これだけでも人類への大きな貢献なのです。