美佐子先生の「てぃんさぐぬ花」や「移民小唄」は初めて聴いた。
「主ン妻節」(すんとぅじぶし)は、夫婦の痴話喧嘩。この曲は、数年前に、嘉手苅林昌の『ジルー』で、美佐子先生の声をはじめて耳にした曲である。それで凄いと思って、美佐子先生の作品をいろいろそろえることになってしまった。『ジルー』を確かめてみると1975年録音。30年以上の時間差があるわけだ。もちろん林昌は故人だから、今回は名護良一さんとの掛け合いになっている。
新作での「主ン妻節」には、30年以上前の、キーンと突き刺すような声はない。そのかわりに、もう美佐子先生にほかならない個性がアルバム全体に充満している。何度も聴きたいと思ってしまう。
ところで、その『ジルー』を聴いたあと、美佐子先生のお店「島思い」を初めて訪れたときのこと。美佐子先生は夜の12時になるやならずやの頃にあらわれ、刺身や汁を振舞ってくれた。唄い始めたのは深夜4時ころ。客は自分とあと1人の酔っ払いだけ。とても贅沢なことだった。
島思いのHP
