椎名誠は昔から結構好きで、いろいろ読んだ。真っ直ぐで素朴な気持ちの表現は、本当にうまいと思う。しかし、軽いので、どれがどれだかはっきりとは覚えていない。
『まわれ映写機』(幻冬舎文庫)も、電車の行き帰りですぐに読んでしまった。
映画好きで、自身でも8ミリからはじめて撮り続けているということは知っているが、ここまでシネカメラへの憧れを書かれてしまうと、こちらの頭も溶けてしまう。カメラフェチだ。
アリフレックス。ボリュー。ボレックス。エルモ。キヤノン。アトーン。フジカ。 ただ、8ミリではなく16ミリとなると、よほどでないと家庭人失格となる。カメラもさることながら、フィルムや現像代が8ミリとは比べ物にならないくらい高いのだ。
それで、私は、愛用のカメラバッグにボリューのピンバッジをつけて我慢している。ボリューには8ミリもあるから、実は半分現実的な憧れの対象でもある(実はピンバッジは16ミリではなく8ミリの「5008」という機種で、8ミリのくせに高いから、同じようなものだ)。それから、アリフレックスの野球帽も使っている。バカみたいだ。
8ミリを1年以上ほったらかしている間に、35ミリ用に先立って、8ミリ(スーパー8)のコダクロームは姿を消してしまった。この本でわりと気分が高揚したので、また8ミリをまわそうと思っている。