NHK BS1で放送されたドキュメンタリー『大津波 復興の現場で』(From Dust)(2006年、UAE制作)。
2004年末のインド洋大津波による被害と、それに便乗したスリランカ南岸のリゾート化をルポしている。場所は南西部のゴールやマータラである。
復旧時に、スリランカ当局は「海岸から100m以内は何も建てては駄目」との通達を出す。当初の建前は、「また津波がやってきたら危険だから」だったが、実際には津波が襲ってくる地域はもっと広いのであって、100mに何の根拠もないことが明らかになっていく。実は、これをきっかけに海岸地域を海外大手資本に売り渡し、大型ホテルや商業施設などの誘致を進めるための戦略であることがはっきりする。
いかにもありそうな話だ。これをきっかけに、スリランカ南部は人工的なリゾート地域となっていくのだろうか(もうなっているのだろうか)。このような施設を歓迎する観光客はいるし、それによって地元の経済が潤い雇用も促進されるのかもしれない。しかし、すでに、「ハコものは土建屋と政治家と一部大規模資本だけのためのもの」という面は、あちこちで実証されている。スリランカではどうなのだろうか。
私が97年頃に訪れたマータラの宿は、裏庭の扉を開いたらそこがインド洋だった。たぶんあの宿はもう無いのだろう。商業ビルがない光景も少なくなっていくのかと思うと、これでいいのだろうかと感じる。
ところで、欧州のセメント企業ホルシムのマークがよく目についた。調べてみると、ゴールに工場があり、復興にも協力しているようだ。ドキュメンタリーのスポンサーシップでなくても、企業の社会貢献として大きなアピールとなることだろう。
このドキュメンタリーは、ウェブで全編(1時間弱)見ることができる。シンハラ語は英語字幕となっている。
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