『週刊金曜日』(2007/7/13)に、この間までの国会における答弁について報告されている。「集団自決」における、軍命の有無に関する鈴木宗男議員の質問に対する答弁である。
あらためて調べてみると(以下、衆議院ウェブサイトより転載、但し下線は私が引いた)
【質問】
平成十九年六月二十五日提出
質問第四一九号
沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問主意書
提出者 鈴木宗男
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沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問主意書
一 第二次世界大戦末期に、沖縄県にて当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令が下されたか否かについての論争が活発化しているが、沖縄戦において、当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令が下されたか否かの事実について、政府の認識を明らかにされたい。
二 沖縄戦において、当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令がなされたとの記述が教科書から削除される検定(以下、「教科書検定」という。)が下されたが、「教科書検定」に対する政府の認識如何。
三 「教科書検定」に対して、沖縄では県議会で撤回を要求する意見書が可決され、憤りの声を上げる沖縄の住民も多いと思料するが、このことに対する政府の認識如何。
【答弁】
平成十九年七月三日受領
答弁第四一九号
内閣衆質一六六第四一九号
平成十九年七月三日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員鈴木宗男君提出沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問に対する答弁書
一について
先の大戦において、沖縄は国内最大の地上戦を経験し、多くの方々が、犠牲となり、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたことは承知している。お尋ねの沖縄戦において不幸にも自決された沖縄の住民のすべてに対して、自決の軍命令が下されたか否かについて、政府としては現時点においてその詳細を承知していない。
なお、沖縄戦における住民の犠牲者のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)の適用上、過去に戦闘参加者と認定されたものについて、その過程で軍命令があったとされた事例がある。
二及び三について
沖縄戦におけるいわゆる集団自決については、種々の議論や意見等があることは承知している。しかし、歴史教科書の検定は、国が特定の歴史認識を確定するという立場に立って行われるものではなく、学習指導要領や教科用図書検定基準により、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議の結果に基づき行われるものであり、御指摘の検定についても、沖縄戦の実態について誤解を生ずるおそれのある表現に関して、適切に検定意見を付したものと認識している。
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要は、軍命があったことを、旧厚生省は「援護法」の適用にあたって認定はしたが、それと教科書とは関係ないということである。これ自体が自己矛盾だが、他に気になること。
●「不幸にも自決された沖縄の住民のすべてに対して」と表現している。これは、軍命が「一部」しか証明されない、というストーリーにしたいということではないか。
●直接的な軍命の有無、だけではなく、教育や世論形成、それまでの軍隊の言動、などを通じたマインドコントロールにより、この悲惨な事件が起きたことが、既に多くの方の証言により見えてきている。この質問と答弁の過程は、問題を直接的な軍命の有無だけに閉じ込めてしまう危険があるのではないか。
●「援護法」により既に年金や弔慰金などを受け取っている遺族や犠牲者の方々にとってみれば、オカネ(靖国的名誉を含む)を返還しなければならないのではないか、との不安が生じるのではないか。(→石原昌家氏によるご指摘:「沖縄「集団自決」問題(3) 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)」参照)
あらためて調べてみると(以下、衆議院ウェブサイトより転載、但し下線は私が引いた)
【質問】
平成十九年六月二十五日提出
質問第四一九号
沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問主意書
提出者 鈴木宗男
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沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問主意書
一 第二次世界大戦末期に、沖縄県にて当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令が下されたか否かについての論争が活発化しているが、沖縄戦において、当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令が下されたか否かの事実について、政府の認識を明らかにされたい。
二 沖縄戦において、当時の日本軍から沖縄の住民に対して自決の軍命令がなされたとの記述が教科書から削除される検定(以下、「教科書検定」という。)が下されたが、「教科書検定」に対する政府の認識如何。
三 「教科書検定」に対して、沖縄では県議会で撤回を要求する意見書が可決され、憤りの声を上げる沖縄の住民も多いと思料するが、このことに対する政府の認識如何。
【答弁】
平成十九年七月三日受領
答弁第四一九号
内閣衆質一六六第四一九号
平成十九年七月三日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員鈴木宗男君提出沖縄戦における集団自決をめぐる教科書検定に関する質問に対する答弁書
一について
先の大戦において、沖縄は国内最大の地上戦を経験し、多くの方々が、犠牲となり、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたことは承知している。お尋ねの沖縄戦において不幸にも自決された沖縄の住民のすべてに対して、自決の軍命令が下されたか否かについて、政府としては現時点においてその詳細を承知していない。
なお、沖縄戦における住民の犠牲者のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)の適用上、過去に戦闘参加者と認定されたものについて、その過程で軍命令があったとされた事例がある。
二及び三について
沖縄戦におけるいわゆる集団自決については、種々の議論や意見等があることは承知している。しかし、歴史教科書の検定は、国が特定の歴史認識を確定するという立場に立って行われるものではなく、学習指導要領や教科用図書検定基準により、教科用図書検定調査審議会の専門的な審議の結果に基づき行われるものであり、御指摘の検定についても、沖縄戦の実態について誤解を生ずるおそれのある表現に関して、適切に検定意見を付したものと認識している。



要は、軍命があったことを、旧厚生省は「援護法」の適用にあたって認定はしたが、それと教科書とは関係ないということである。これ自体が自己矛盾だが、他に気になること。
●「不幸にも自決された沖縄の住民のすべてに対して」と表現している。これは、軍命が「一部」しか証明されない、というストーリーにしたいということではないか。
●直接的な軍命の有無、だけではなく、教育や世論形成、それまでの軍隊の言動、などを通じたマインドコントロールにより、この悲惨な事件が起きたことが、既に多くの方の証言により見えてきている。この質問と答弁の過程は、問題を直接的な軍命の有無だけに閉じ込めてしまう危険があるのではないか。
●「援護法」により既に年金や弔慰金などを受け取っている遺族や犠牲者の方々にとってみれば、オカネ(靖国的名誉を含む)を返還しなければならないのではないか、との不安が生じるのではないか。(→石原昌家氏によるご指摘:「沖縄「集団自決」問題(3) 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会(沖縄戦首都圏の会)」参照)