一昨年末(2005年)、カナダのモントリオールで、空いた時間にモントリオール現代美術館に入った。ケベックで活動している、シルヴィ・ブシャール(Sylvie Bouchard)という人の個展だった。ミニマルなつくり、透明感も材質感もある描写、少し不気味な孤独感が気に入って、画集を買って帰った。
写真でいえば、ホンマタカシや佐内正史など露出オーバー目で被写体との距離感が微妙な人たちの作品と、あっけらかんと牢獄に閉じ込められているような感覚が似ているような気がする。
ときどき取り出して眺めているが、インターネットで調べる限り、日本ではあまり紹介されていないのだろうか。解説を読むと、80年代からの新たな具象画、ニュー・フィギュラティブ・ペインティングの文脈に位置づけられているようだ。『美術手帖』第763号(1998年)に、「新しい具象 90年代のニュー・フィギュラティブ・ペインティング」が特集されている。当時読んだが、このあたりは勘所がなく誰が誰だか忘れてしまったし、この号も既に手元にはない。彼女の仲間にはどんな人たちがいるのか、もう少し調べてみよう。