Sightsong

自縄自縛日記

男鹿和雄展、『第二楽章 沖縄から「ウミガメと少年」』

2007-08-04 23:59:24 | アート・映画

東京都現代美術館に、家族で『ジブリの絵職人 男鹿和雄展』を観にいった。午後すぐだったが、もう10分待ち。この面倒な場所にある美術館に行列ができることはあまりないので驚いた。なお、出た頃には60分待ちになっていた。凄いジブリの動員力。

特に熱心なジブリファン、宮崎ファンでもない私にとって、男鹿和雄は初めてきく名前だ。『となりのトトロ』からジブリ作品の美術に協力し、主に背景の絵を描いている。

田んぼ、小川、電線、家など、人間の手が入った自然の絵が多いことに好感を覚える。特に、『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』などの、濡れた風景、湿った草木や苔と土なんかの作品がとても良くて、またアニメを観たくなってくる。また、『トトロ』での、欅のような落ち葉と茸の絵が気に入った。『平成狸合戦ぽんぽこ』での、山の土砂採取などの記憶も私たちのものだ。

男鹿和雄は、吉永小百合による戦争の朗読シリーズにも、挿絵を提供している。そのうち、沖縄を舞台にした、『第二楽章 沖縄から「ウミガメと少年」』(野坂昭如作)には、グンバイヒルガオが描かれており、沖縄の夏を思い出させる。絵の中で砂浜に佇む少年を指差して、息子が「ボクに似ている」と笑った。

そのCDを買って聴いた。吉永小百合の朗読、大島保克の音楽(夏川りみも歌っている)というハッとするメンバー。産卵をする母ウミガメの視点と、ガマから日本軍に追い出された少年の視点がシンクロしていく展開が秀逸、というより、「ボクに似ている」と聴いたこともあっていたたまれない。ちょっとショッキングな内容も含めて、子どもたちへの平和教育に良いのではないかとおもう。

 
 
以前どこかで拾って挟んであった欅の葉


『第二楽章 沖縄から「ウミガメと少年」』(野坂昭如作、吉永小百合)

 
グンバイヒルガオと珊瑚、2006年夏、奥間 Pentax LX、77mm/f1.8、コニカミノルタパン、月光(2号)