『行徳新聞』に、市川市塩焼在住の写真家ケースケ・ウッティーの写真展『タマナショナル』の記事があったので、昼休みに、すぐ近くのオリンパスギャラリー東京を覗いてきた。タマナショナルとは、ボルネオ島のインドネシア側カリマンタンにある国立公園だという。(>> リンク)
オランウータンのぴかぴか光る眼も、ヒゲイノシシの愛嬌ある顔、テングザルの大きな鼻、葉っぱに偽装した蛾、足元の苔などもとてもおもしろい。デジタル臭くないなあと思い、話してみると、ミノルタα-9にプロビア400を使っているということだった。ジャングルの中は暗いので、400mmにテレコンを付けてシャッタースピード1/60など辛い条件だったと言っていた。銀塩はそれだけで嬉しくなる。
ところで私も塩焼に以前住んでいた。行徳にはかつて塩田が多くあったことを示す地名だ。ひとしきり塩焼話をする。
写真群においては、森を破滅に追いやることが、オランウータンたちの生育地を無くすことであり、それにはパーム油や木材の需要地である日本の私たちは無縁でない、というメッセージを示している。
山田勇『世界森林報告』(岩波新書、2006年)によれば、東カリマンタン州では伐採のあとの森林火災によって急速な劣化が進み、もはや見るべき森林は残っていない状況にある。森林火災自体が事故や自然発火によるものだけでなく、二次林を焼いて早生樹種を植えたり、オイルパームを植えるときに伐採した木々を燃やして乾燥させたり、といった開発圧力に起因するものとなっている。また、中カリマンタン州では、スハルト政権下、泥炭湿地林で無理やり米の増産をしようとして大失敗に終った「メガライス・プロジェクト」によって、悲惨な状況にある。