ニコラス・ペイトン『#BAM Live at Bohemian Caverns』(BMF Records、2013年)を聴く。
Nicholas Payton (tp, fender rhodes)
Vicente Archer (b)
Lenny White (ds)
ニコラス・ペイトンを聴くのは実に久しぶりだ。たぶん1995年前後に、神田TUCで彼のトランペットを目の当たりにしたのだが、パワーもソロ回しもこちらを威圧するには十分で、カップリングされていた日本側のメンバーが「ジャズを真似している」ようにしか聴こえなかったほどだ。
ただ、その頃のCDへの吹き込みは、『From This Moment』も『Gumbo Nouveau』もその迫力を捉えていないように思えて、その後手放してしまった。(カール・アレンをリーダーとするグループ「Manhattan Projects」でのペイトンは、朗々とした長いソロを吹いていて、なかなか素晴らしかった。グループ名に大きすぎる問題点があることを除いては。)
そんなわけで、なぜかレコード店で匂ってきて手にしたこの最新作だが、期待に違わない。なんと、ペイトンがフェンダーローズまで弾いている。しかも、ちょっとした味付けなどではなく、トランペットと同じくらいの比重を置いた演奏なのである。これがスタイリッシュ、実にカッコいい。もちろん、ペイトンのトランペットの音色はビカビカと光り輝いている。記憶にある音量を重ねながら、聴く。
ドラムスがあのレニー・ホワイトだということも、妙にハマっている。CDの真ん中あたり、ホワイト抜きでのベースとトランペットとの短いデュオ「Pannonica」(セロニアス・モンク)が息抜きになっていて、また盛り上げるという趣向。これは好きになった。