昨日は、友人の研究者Tさんと、写真展をハシゴ。
■ 須田一政『凪の片』(東京都写真美術館)
須田一政という写真家は、どうも作風や個性を捉えられないように思っている。作品の方向性は多彩である。それでも、すべて「オドロオドロシイ」とでも言うのか、まるで妖怪を見るような気にさせられてしまう。
この個展は、これまでの代表作のいくつかを紹介するものだった。すべて銀塩プリントなのだが、吸い込まれそうな恐怖を覚えるものが少なくない。
おそらくは低感度の白黒フィルムを使っており、粒子を感じさせない。そして、印画紙の端々まで、ぎっちりと、非常に巧みに焼き込んである。光と影と瞬間の偶然性に賭けたものではないのだ。レンズで捕捉した<光>ではなく、<現実>という底知れぬ魔を、執念深く焼いていくような感覚。
帰ってから思い出した。この人が、ニッツォのスーパー8カメラで撮影した8ミリフィルムを35ミリに複写した『OKINAWA』という作品群があった(何年か前に雑誌で観た)。あらためて観てみたいのだが、何かにまとまっていないだろうか。
■ 『写真のエステ-コスモス 写された自然の形象-』(東京都写真美術館)
木、火、土、金、水というテーマによって(曜日ではない)、収蔵品を紹介する企画。好きな写真家の作品も、はじめて聞く名前の作品もある。水越武による日本の原生林や、石元泰博による有無を言わさぬ構成の桂離宮が印象的だった。
■ 牛腸茂雄『こども』(ナディッフ)
『SELF AND OTHERS』などに収録された子どもの写真。はじめて目にしたときの衝撃はもうないが、それでも、観るたびに、静かな動揺のような気持を覚える。今度、牛腸が製作に携わったという16mmフィルムの上映があるそうだが、どのようなものだろう。
■ 『SAVE THE FILM - 7TH GELATIN SILVER SESSION』(六本木アクシスギャラリー)
銀塩にこだわった、多くの写真家たちによる作品群。言うまでもないことだが、如何にデジタルが精密描写の方向に進もうと、フィルムの力は永遠に侮れない。それは観ればわかることである。どれもが素晴らしいのだが、中でも、中藤毅彦による高感度フィルムでのパリ、広川泰士による大判での橋、広川智基による雪山(カラーで白黒プラスアルファを生み出す感覚?)などが印象的。
■ この日食べたもの
恵比寿の「ビール坂」でお祭りをやっていて、女川町の人たちがつみれ汁を無料で振舞っていた。さっそく並んで頂いたところ、つみれがごろごろと沢山入っていた。勿論、旨くないわけがない。すきっ腹が落ち着いた。
ランチは、恵比寿の「海南鶏飯食堂2」にて、ハイナンチキンライス。シンガポール名物だが、今年シンガポールに初めて上陸したときに食べる機会がなかった。上品な味で満足。
歩き回った後、新宿の「海森」(かいしん)という沖縄料理店に入った。なんと、「ゴーヤー入りビール」なるものがあった。身体によさそうだと思って飲んでみると、これが悪くない。ただ、ビール感が希薄だった。