ジョニー・トー『ドラッグ・ウォー 毒戦』(2013年)を観る。
先日、ジャカルタからシンガポールへのシンガポール航空便で本作を途中まで観て、ヤンゴンまでのシルク航空で続きを観ようと思っていたら、なんと座席前のヴィデオ設備がなかった。シルク航空はシンガポール航空の子会社だから大丈夫だと思いこんでいた。そんなわけで、我慢できずDVDを調達したわけである。
テンミン(ルイス・クー)は、麻薬を運ぶ途中で意識を失い逮捕される。ジャン警部(スン・ホンレイ)を中心とする麻薬捜査チームは、情報を知るテンミンを囮として使い、麻薬密輸団を一網打尽にしようとする。ジャン警部の潜入、トリック、そしてテンミンの裏切り。
最後まで息つく間がない展開は、さすがである。たとえば、麻薬密輸団同士の密会において、ジャン警部が互いの役を2回繰り返し、まんまと騙してしまうという面白さ。
いつもの余裕をもったユーモアは本作には見られないが、それでも、笑ってしまうネタは多い。麻薬運搬トラックを24時間も追跡し続けてきた刑事たちを、ジャン警部が引き継ぐのだが、その途端に慌てて自動車を止めてまろび出てきた刑事たちは、何と立ち小便をするのであった。そりゃそうだ。
ルイス・クーに加え、いつものラム・シューが登場してくると嬉しくなってしまう。スン・ホンレイがジョニー・トー映画に出演するのははじめてかもしれない。どうも習近平に見えてしかたがない。
腕をびしりと伸ばしての銃撃などといった「ひたすらカッコいいシーンだけ」を集めるジョニー・トーにしては、アクションが派手な割にはケレン味が少ない気がするし、料理や食事など余裕たっぷりの場面も入れてほしかったところではあるが、もちろん傑作。2014年1月に日本公開だそうである。
●ジョニー・トー作品
○『高海抜の恋』(2012)
○『奪命金』(2011)
○『アクシデント』(2009)※製作
○『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』(2009)
○『文雀』(邦題『スリ』)(2008)
○『僕は君のために蝶になる』(2008)
○『MAD探偵』(2007)
○『エグザイル/絆』(2006)
○『エレクション 死の報復』(2006)
○『エレクション』(2005)
○『ブレイキング・ニュース』(2004)
○『柔道龍虎房』(2004)
○『PTU』(2003)
○『ターンレフト・ターンライト』(2003)
○『スー・チー in ミスター・パーフェクト』(2003)※製作
○『デッドエンド/暗戦リターンズ』(2001)
○『フルタイム・キラー』(2001)
○『暗戦/デッドエンド』(1999)
○『ザ・ミッション 非情の掟』(1999)