Sightsong

自縄自縛日記

長沼毅、井田茂『地球外生命』

2014-04-22 07:43:38 | 環境・自然

長沼毅、井田茂『地球外生命 われわれは孤独か』(岩波新書、2014年)を読む。

どのような条件下で、生命が誕生し(約40億年前)、存在しているのか。わたしの知識はずいぶん前の聞きかじりに過ぎない。本書を読むと、科学的な知見やデータが吃驚するくらい蓄積されていることがわかる。

生命の誕生については、長年、「原始スープ説」が主流であった。有機物が多い海の中で、電気などのショックにより、長く結合していったという説である。これに加え、深海の熱水近くで、鉱物の表面で有機物が反応したという「原始クレープ説」、火星で発生した生命が隕石に付着してやってきた「火星起源説」、彗星(実は有機物に富んでいる)の上で太陽にあぶられて反応が進んだという「彗星起源説」といったさまざまな説が提唱されている。根拠なき話ではない。

生命が、高度な生物に進化していくためには、陸域の存在、酸素の大量発生が重要なファクターであるという。そのため、海のある惑星において、仮に生命が存在していたとしても、なかなか知性が生まれるには至っていないのではないか、とする。いまの段階では、地球が如何に奇跡的な環境にあったのかを示すものだといえる。

もちろん、生命の存在自体が、科学史における最大級の発見となる。しかも、候補は冗談のように多く、夢物語ではないようだ。この分野の伸びしろはとても大きいのだということが、実感できる本である。