篠田正浩『はなれ瞽女おりん』(1977年)を観る。
瞽女(ごぜ)とは盲目の女旅芸人。そして、はなれ瞽女とは、瞽女に禁じられている男との関係を持ってしまったために、仲間から追放され、ひとりで旅をしなければならない瞽女。
主人公の瞽女・おりん(岩下志麻)は、目が見えないために、あまりにも酷な生活を強いられる。ある日から、おりんは、陸軍の脱走兵(原田芳雄)と心を通わせ、一緒に、柏崎や長岡で旅をすることになる。やがて陸軍の捜索の手がのび、男は捕らえられる。救いようのない物語である。
撮影は、名カメラマン・宮川一夫による。おりんが初潮を迎え、雪の上に赤い血を落とす、それが紅い花になる(誰かがつげ義春を読んでいたのだろうか?)。また、夕刻、しゃがむおりんの肩に、花びらが舞い落ちる。目を奪われる、さすがの名人芸だ。