ブリジストン美術館で、「描かれたチャイナドレス ―藤島武二から梅原龍三郎まで」展を観る。
本展には、大正から昭和にかけて、日本人によって描かれたチャイナドレスの絵が集められている。
明らかに、画家の「中国趣味」ブームの結果であり、そのことは、小出楢重が「支那服を描きたい、支那服を描きたい」と熱望し、それに応えるため、周囲の者が中国のモデルを連れてきたという逸話でもわかる(「周秋蘭立像」)。モデルは中国人ばかりではなく、チャイナドレスを着せた日本人のこともあった。安井曾太郎の有名な「金蓉」は、竹橋の国立近代美術館で幾度も観た作品だが、実はそのモデルも日本人であり、また、同じモデルが同じチャイナドレスを着た姿を、正宗得三郎も描いているのだった。
梅原龍三郎、三岸好太郎、藤田嗣治たちの作品も、それぞれのスタイルが面白い。また、久米民十郎という画家をはじめて知ったのだが、「支那の踊り」における流れるような独特のフォルムは、アヴァンギャルドと呼んでも全くおかしくない。調べてみると、関東大震災のために、30歳で夭折した人であるという。