ウォルフガング・ムースピール『Rising Grace』(ECM、2016年)を聴く。
Wolfgang Muthspiel (g)
Ambrose Akinmusire (tp)
Brad Mehldau(p)
Larry Grenadier (b)
Brian Blade (ds)
オールスターメンバーの名前に驚いて入手してみたものの、理知的な人ばかりの上品なセッションであり、いまひとつ惹かれない。ムースピールはバッキングもときに前に出てのソロも悪くないのだが、かれが登場してきたころの、たゆたいながら力強くサウンドの連続性を押し出してくるような個性は、もはや希薄。とはいえ、やはり理知的なトランペットを吹くアンブローズ・アキンムシーレとの親和性はあるようで、大音量で音の重なりに耳を傾けていると、うっとりもする。
不幸なことに、わたしはブラッド・メルドーのピアノやキーボードにただの一度も「感じた」ことがないのだが、ここでのピアノは好きになった。しばしば色気でぬるりと輝くピアノのフラグメンツが見えてきて、またときにフォーク的でもあったりして、とても良い。