Sightsong

自縄自縛日記

『1968年 激動の時代の芸術』@千葉市立美術館

2018-11-11 22:48:16 | アート・映画

千葉市立美術館に足を運び、『1968年 激動の時代の芸術』展。最終日、間に合った。

もちろん知っている作品も多いのだが、こうしてまとめて観ると、政治の季節ということよりも、新たに何かをはじめようという熱量にこそ圧倒される。今だってこういったことは出来るはずなんだよな、と思わされてしまうのが魔力か。

新鮮な発見。東松照明による新宿騒乱の写真の巧みさ(どうやら個人技ではなくチームワークの賜物であったようだが)。赤瀬川原平の『櫻画報』や『赤軍・PFLP世界戦争宣言』に漲る個人的抵抗心。北井一夫の三里塚の作品群には何度観ても貫かれる。田村彰英の基地写真の他人事感。タイガー立石の漫画が赤塚不二夫のニャロメを生み出したこと。また、タイガーへのキリコの影響。つげ義春の『流れ雲旅』の素晴らしい原画。森山大道の作品はもはや力を持っていないような印象。『PROVOKE』はかつて『The Japanese Box』で出たときに買い逃してずいぶん後悔したけれど、また再発されるからといってもう欲しくはない。菅木志雄や李禹煥が制作する姿。

横尾忠則による『新宿泥棒日記』ポスターのポストカードとヘンな魔除猫の根付を買って帰った。図録はもう要らない。


村山政二朗+古池寿浩+Martin Taxt『Duo and Trio』

2018-11-11 08:41:58 | アヴァンギャルド・ジャズ

村山政二朗+古池寿浩+Martin Taxt『Duo and Trio』(meenna、2018年)を聴く。

Seijiro Murayama 村山政二朗 (ds, voice)
Toshihiro Koike 古池寿浩 (tb)
Martin Taxt (microtonal C-tuba) (track 2)

村山さんの、向こう側の空間から引きずり出すようなヴォイス。抽象世界なのか虫の世界なのか。それとドラムスによるパルスとが共存しちるのだから奇妙なものだ。一方の古池さんはトロンボーンを震わせるふりをして何かを震わせている。実にミクロな、顕微鏡で見出した有機物のうごめきを拡大したような音世界。

2曲目ではタクストのチューバが加わる。単に厚みを増すのではない。ぶるぶるとした震えがトロンボーンの震えと相乗し、拡大のプロセスにおいては別世界からの入り口がいくつも開いてくる。そのひとつひとつからは村山さんのパルスが聴こえる。さらに豊かなミクロ世界。

●村山政二朗
アクセル・ドゥナー+村山政二朗@Ftarri(2018年)

●古池寿浩
高島正志+古池寿浩+秋山徹次「Blues Frozen Xīng ブルース 凍てついた星」@Ftarri(2018年)
藤井郷子オーケストラ東京@新宿ピットイン(2018年)
ふいご(2008年)