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自縄自縛日記

『けーし風』読者の集い(22) 軍用地の返還と地域の自立を考える

2014-02-02 20:08:27 | 沖縄

『けーし風』第81号(2013.12、新沖縄フォーラム刊行会議)の読者会に参加した(2014/2/1、あんさんぶる荻窪)。参加者は10人、プラス、飲み会に2人。

 

本号の特集は「軍用地の返還と地域の自立を考える」と題されている。

明らかに自治と自律的な経済・社会がなりたつことを疎外している基地に関して、いかにして返還を要求し、その際の汚染除去を求め、さらに返還後の利用を想定していくか。(いまでは基地への経済依存はかなり小さいものとなり、逆に、マイナス面ばかりが拡大再生産されている。)

以下のような視点、論点。

○沖縄の批評誌『N27』。かつての『EDGE』のように多彩な文化を取り入れた雑誌で読み応えがある。
沖縄タイムス『基地で働く』。昔から沖縄では米軍に関する実証的な検討結果が出されている。来間泰男『沖縄の米軍基地と軍用地料』もみるべき成果。それらに比べ、佐野眞一『沖縄 誰にも書かれたくなかった戦後史』における記述には疑問があるとのこと。
辺野古の新基地の建設費はおそろしいほど高い。維持費も普天間に比べ劇的に高くなる。アメリカ会計検査院(GAO)の公表によれば、洗機場(辺野古の環境アセスにおいて「後出しジャンケン」のように登場)では真水を使い、また使用後の水処理も必要であり、これがコストアップの一因であるという。また、駐留米軍のコストの7割を日本政府が負担しているという数字がある(「思いやり予算」だけではない)。こういったことが知られなければならない。NHKの特集番組でも、コストについては言及されない。
○伊波洋一さん(元宜野湾市長)が、宜野湾市大山の名産の田いも(ターンム)について話した記事。換金性が高い作物ゆえ地域経済にとっての意義が大きい。かつては、伊佐浜(「銃剣とブルドーザー」によって住民が追い出された地域)や名護市にも美田があったが、米軍基地によって消滅させられた歴史があるという。
○普天間の地下が琉球石灰岩によって涵養された地下水脈であり、そのために大山の田いも栽培が出来ている。それゆえ、返還後も、基地による汚染を視ていかなければならない。
日米地位協定においては、基地返還時に、汚染浄化の責務は米国にはないこととされている。しかし、それを明らかにしてはならないとは書かれていないし、米国がその作業をしてはならないとも書かれていない。(ソウル・ブルームさん)
○沖縄の米軍基地問題について、海外有識者(ノーム・チョムスキー、ジョン・ダワー、ガバン・マコーマックら)が出した声明。沖縄では大きく報道されているが、「本土」ではさほどでもない。報道を嫌がる向きもあるのだろう。
○東京都知事選のゆくえ。
○沖縄県知事選のゆくえ。
○沖縄が「オール沖縄」となりえていることは、民主運動の到達点だとする評価。
○辺野古近くの大浦湾で、防衛省はジュゴンの目視を31回もしており、海草の食み跡さえ見つけていた。しかし、この事実は情報開示請求によってはじめて明らかになり、当然、環境アセスには反映されていない。
○辺野古の環境アセスが適切な方法を取らなかったことについては、控訴審が始まっている。また、公有水面埋立法の第4条には、環境保全上適切でない事業には埋立許可が出されないことがうたわれており、ここにも抵触する。
○軍民共用の那覇空港における第二滑走路計画の問題。辺野古と同じく、米軍と自衛隊の強化という観点。すなわち、沖縄の負担軽減を掲げつつ、実は軍備強化という結果となっている。
オスプレイの低空飛行には法的根拠がないという指摘。現在は米軍機ゆえ、日本の航空法の対象外となっているが、自衛隊が購入する分についてはどうなるのか(オートローテーション機能がないため、現行法では飛べない筈)。


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