藤木TDC、イシワタフミアキ、山崎三郎『消えゆく横丁 平成酒場始末記』(ちくま文庫、2019年)。
消えた横丁、消えつつある横丁、再生した横丁。横丁は寂れていても賑わっていても、夜でも昼でも、人の心を惹きつけるものがある。
本書に紹介されている横丁は、新宿ゴールデン街や吉祥寺のハーモニカ横丁など再生したところもあるが、ほとんどは消えてしまったり、消えつつあったりするところばかりである。そりゃ理由はいろいろあるが、それにしても勿体ない。
文字通り、これらの横丁の空気を体感できるかどうかは時間との戦いである。江東区森下の五間堀長屋など、居酒屋「藤」や町洋食の「キッチンぶるどっく」にいつか行こうと思っていたのに、取り壊しとのニュースを読んだのが運悪く入院中であり、間に合わなかった。神田の今川小路も気が付いたら無くなっていた。その駅側の神田小路も再開発に伴う立ち退きが間もなくだそうである。ガード下のアーチ式の穴に複数店舗が入った奇妙な作りであり、「ふじくら」「宮ちゃん」でなんどか飲んだのだが、どれがどの店かわからなかった。隣の「次郎長寿司」にも早く行きたいと思っているのだが・・・。東銀座の三原橋の半地下も、シネパトスにしか行かなかった。ああ、勿体ない。