Sightsong

自縄自縛日記

ジャン=ジャック・アノー『愛人/ラマン』

2012-12-04 00:35:44 | 東南アジア

ジャン=ジャック・アノー『愛人/ラマン』(1992年)を観る(韓国版DVD)。公開後にヴィデオを借りて以来だ。内容は何故だかまったく覚えていなかった。

1929年、仏領インドシナのサイゴン(現、ベトナム・ホーチミン)。貧しくコケティッシュなフランス人の女の子と、リッチな中国人の男。女の子は15歳、男は32歳。はじまりから歴然とした立ち位置、男は恋をしたと陶酔しつつ、実のところは猛烈な性欲に抗えず、女の子と関係を持つ。立ち位置を忘れようとするかのように激烈に。

というとインモラルで倒錯した物語が昇華しているようだが、実はまったくくだらない。そのようなものを見せたいだけの三流映画だった。書き割りのような背景も、奇妙にクリアで鮮やかなベトナムの光景も、何だか恥かしい。カット割りもステレオタイプ以下で、これも恥かしい。

付録のメイキングフィルムにおいて、監督のアノーが、誰の目にも明らかな間抜け顔で、とうとうと文化の違いだとか魅力的な主演女優を見つけただとか語っているのを視ると、この恥かしさは故なきことではないと確信した。見世物のエロと、マルグリット・デュラスのナルシシズムに依存しただけの代物である。

ああ、くだらない。

●参照
アラン・レネ『ヒロシマ・モナムール』(デュラス脚本)


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