ロバート・アルトマン『ロング・グッドバイ』(1973年)のDVDを入手して、早速、いそいそと観た。
もう20年くらい前に、渋谷のどこだかでリバイバル上映を観て以来である。ずいぶん気に入って、その後海外amazonでもVHSを探していたが、良いものが見つからなかった。それがいまや千円。隔世の感がある。
私立探偵フィリップ・マーロウを、エリオット・グールドが演じる。実は読んでいないのだが、レイモンド・チャンドラーによる原作小説には、マーロウが可愛がる猫のエピソードは出てこないようだ。
猫が、夜中の3時過ぎに空腹で騒ぎはじめる。マーロウは、仕方ないなと言わんばかりに、24時間営業のスーパーに「カレー印」のキャットフード缶を買いに行く。しかし売り切れていて、マーロウは他の缶を買って帰り、家で「カレー印」の空き缶に詰め替える。猫は、見向きもしない。
この愉快なエピソードもさることながら、もうひとつ、マーロウ=グールドが、「猫」的な存在として描かれていることも、映画を決定的に魅力的なものにしているのではないか。マーロウ=グールドの顔や挙動は、何にもしばられない。やわらかな曲線を描いて動くマーロウ=グールドは、「猫」そのものだ。
サウンドトラックのジャズは、ジョン・ウィリアムズが手掛けている。これがまた、冗談のように映画にハマっている。やはり、ジャズには犬でなく猫か。何でかな、ニャーニャー。
いや、じつは猫を飼ったことがないのです。自分には百年早いようです。