日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
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佐藤優著 「国家の罠」(新潮文庫)

2009-04-07 06:36:19 | 本・映画・展覧会
 刊行された時に読みたいと思ってた本だが、随分時間がたってから友人より頂いたので読むことができた。やはりホットなテーマなうちに読んでおけば良かったと思わないでもないが、それは「事件」を取り巻く空気を感じる必要があればの話。時を経てもテーマは不変なので、これから読んでも遅くはない。

 経緯を知らない方のために書いておくと、本書は鈴木宗男議員がロシア(&北方領土)問題で逮捕された事件の背景を解説し、同じく逮捕された著者の拘置所での取調べ~検事との熾烈な駆け引きの模様を克明に記した本である。

 本書が面白いのは事実が述べられている点ではなく、どういう理由があって又どういう根拠(思考)で著者あるいは外務省が行動をしたか、その過程での判断基準はどういうものだったかを克明に記している点。ただしそれは外務省あるいはインテリジェンスの世界でのスタンダードによるものであり、世の中のいわゆる常識、あるいは空気といったものとは必ずしも同一でない。そしてそのことが「断罪」された理由なのだと、著者ではなく取り調べ検事が言っている所が興味深い。

 裁判員制度が議論されている昨今、この本を読んで著者が、鈴木宗男が有罪か無罪か各々考えてみると良い。人を裁くことがいかに困難か、どれほど多面的に「事件」を検証し「罪」を考えなければならないかが分かる。まぁそれでも自分の中の鈴木宗男に対する悪印象は変わらないけどね(笑)。

 また、かねてからインテリジェンスという世界には少し興味があったので、一端を知る良い本でもあった。もう少し、この世界について読んでみようかな。あ、それと鈴木宗男の書いた本。あぁ、また読む本が増えてしまう…

 2009年3月31日 通勤電車車中にて読了
コメント
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