湿原から離れて少し先のスキー場の付近に足を運んでみました。至る所が別荘地と化し斜面を横切るように道路が刻まれ家が林の隙間から見え隠れしています。幾分開けた草地にズミの木が今が盛りとばかりに花を咲かせていました。何ともすばらしい景観で何の木かと疑ったほど。陽の光をいっぱい受けて輝いています。私の経験ではズミはかなり湿り気が好きな樹木で湿原でよく出会います。しかし、ここでは緩い傾斜地で湿地を構成するほどの地形ではありません。この樹のほかにも大小いくつかの木々が点在しているところを見るとこういう環境でも良く生育するのだと思い知らされました。下草はミヤコザサでしょうか。ササ原が続いているところで家でも建てるつもりで雑木を刈り払った後、放置されたようです。察するに、このササ原は早晩、ズミの林になっていくようです。
ズミは別名コリンゴといい花はリンゴの花と同じです。花の後赤い小さな実になり、食べると酸っぱくて「酢実」からなずけられていると聞きました。そういえば、幼いころに近所の庭外れにズミの大きな樹があってそこに登って実を食べた記憶があります。たくさん食べるというのではなく数個とっては味見をしては顔をくしゃくしゃにして「酸っぱい!」と言いながら友達と遊んだものでした。どうやら木登りが目的だったのかもしれません。その樹は幹回り30㎝近くはあったような気がしますが、この写真のように株状ではなく単木。花も付き方も頭にパラパラと付く感じでした。日当たりのせいでしょうか、同じズミでも樹形がかなり異なっています。