モクセイ科トネリコの仲間は判断に迷うやや苦手なグループです。幼少時は田の「はさ木」としてトネリコはごく身近にあった樹木ですが細かな特徴が頭に入っていません。花の季節ならそれなりの判断しやすいのですが、花の咲いた直後ですし、ましてや他県でのこと、迷いが出ます。しかし、この樹の葉にはあまり距歯がはっきりしません。これはマルバアオダモの特徴と聞いていますから、そう判断する次第です。マルバアオダモは丘陵公園の里山にも普通にありますから、目の前のものと思い出しながら見比べて、何か違いがないかと目を凝らしたものの気づきませんから、同じタイプのものだろうと考えました。
ハナイカダもありました。先日、八石山で見た葉っぱだけのものよりは実物の花の比較の方が面白いので再び登場です。雌雄異株ですから雄花と雌花を見るのは少し動き回らなければなりません。雄花は葉の中央ほどに数個の小さな花が付いていますから、この複数の花を目印に探します。花弁は4枚のはずですが老眼が入った眼では確認できませんでした。
雌花は葉の中央に一つの花しかついていません。同個体の隣の葉には複数個の花が付いているということはありません。花を載せる葉にはどれも一個の花が付いているのです。地味な花ですが面白い習性をした種ですから忘れ難いものになります。
ホウチャクソウも自生しています。ところがその群落に奇形の花が混ざっているのがちょっと気になりました。福島=放射線の影響という思いが脳裏をよぎります。しかし、このような奇形花は場所が定かではないのですがかなり前に越後のどこかで見た記憶があります。奇形のタイプも同じパターンで花弁が一部平たくなっていたと思います。この花、花弁作りに障害を起こしやすい性質があるのかもしれませんね。それを誘発するのが放射線であったりする?可能性はあります。
深山の比較的湿り気のある場所に大きな群落をつくっている大形の多年草です。この花を見るにはそれなりの奥山に行かないと見られないのですが、今年は各所でこの花を目撃しました。花の季節ばかりというわけでもありませんが、それくらい奥山に出向いたということでしょうか。あるいは大型の種ですから個体数が少なくても目立ちますからついつい目に入ってしまう・・・。私的にはごく普通の花になってしまいました。丘陵公園の里山にはもちろんありません。
季節は5月中旬。クマガイソウの群落地の沢に早くもヤグルマソウが花を見せていました。なんとなく早い咲きだしで、低海抜のせいかなという感想です。しかし、近づいて見ればまだつぼみ状態のものも多く「咲いた」というには少し早いようです。
ところで、この種があるということはここはかなりの山奥・・ということになってしまいますね。大きな街があったり隣接する山村も山奥を感じさせない環境なのですがここにある種を総合すると「里山」というより「奥山」扱いしたほうがいいのかもしれません。福島県の中通りですから山奥という位置づけでも正しいようです。
ところで、この種があるということはここはかなりの山奥・・ということになってしまいますね。大きな街があったり隣接する山村も山奥を感じさせない環境なのですがここにある種を総合すると「里山」というより「奥山」扱いしたほうがいいのかもしれません。福島県の中通りですから山奥という位置づけでも正しいようです。
ルイヨウボタンです。越後の奥山では時々見かけます。あいにく花が散った直後で実の形も定まっていません。葉だけの判断ですが越後で見るものとの差は無いようですね。葉は確かにボタンの花に似ています(語源は「類葉ボタン」とか)。花の季節にじっくり花を観察すると面白い種ですから今度機会があったら取り上げようと思います。
絶滅危惧種にも指定されているレンゲショウマが自生していることに再び驚きでした。日本固有種。福島はこの種の分布では北限になっているようです。福島から西日本にかけて山地に自生する種だそうですが新潟県にはありません。花は夏場ですからクマガイソウが咲くころはつぼみさえ確認できませんでした。貴重な種ではありながら植物園などには良く植栽されていますから花を見る機会は結構あるのですが、本来の自生地で花を見ることはなかなかできない種だと思います。魅力的な花が咲きます。
ミヤマエンレイソウとも言いますが、新潟県内では普通見られません。文献によれば長野との県境の高山にわずかに自生しているようです。私も実物を見るのは今回が初めて。二回りも昔に北海道のサロベツでオオバナノエンレイソウが群生している光景を見て驚嘆したことがあります。その時に、エンレイソウに白い花があるのだと知りました。里山で見るエンレイソウは花は黒紫色がかった緑色でそれほど魅力的な花とは言えません。白い花のエンレイソウになんとなく心惹かれているせいかクマガイソウ群落地でこれを見つけたときは少なからず興奮しました。新潟では高山にしかないのにここでは海抜はそれほど無いようですし奥山といほどの地域でもありません。どういう広がりを見せている種なのか興味深いですね。ところで、エンレイソウは花弁のうち外側(外花被片)しかなく内側(内花被片)はありません(まれにあるとか)。まぜ
内花被片を失う必要があったのか?残っていればもっと愛される存在になっていたかもしれません。
内花被片を失う必要があったのか?残っていればもっと愛される存在になっていたかもしれません。
花が散って間もないヤマシャクヤクがありました。植栽したのかもしれませんが雰囲気的には自生のようです。山野草では人気が高い種ですから盗掘されて激減している種と思いますが、それでもときどき見かけます。それも、比較的道路の近くであったり人の作用を受けやすそうな場所に・・・。とはいっても、目につかない雑木林の林床にあることの方が多いのですが・・・(こういう場合はそれなりの個体数があります)。単なる偶然かもしれませんが、種の運ばれ方などに何か理由があるのかもしれません。
ヤマブキソウが群生する脇にユキザサが数株花を見せていました。茎は斜上してその先端に白い花を付けます。この種も越後ではお馴染みのもので里に近いところにはユキザサが、奥山にはこれより大型のヒロハユキザサやオオバユキザサなどがあります。東北や北海道ではこの新芽を「あずきな」とよび山菜にしているという話を最近聞きました。私は以前ナンテンハギの新芽を「あずきな」と教えられたことがあり、ずっとこれまでその認識でしたが、話がかみ合わない事態が起こってよくよくすり合わせてみると「あずきな」の正体が異なっていたという次第です。小豆はマメですからナンテンハギの方が名にふさわしそうですが・・・。それはそうと、ユキザサは山菜としては美味しい部類に属すと私も思います。若い頃、平ケ岳に登った折、水場でヒロハユキザサをを使った味噌汁を作ったことがあります。その味が懐かしく美味しかったことを思い出します。
葉が特徴的なキンポウゲ科のサラシナショウマの仲間。花は秋に咲きますから春は葉だけの姿です。サラシナショウマとよく似た花姿です。あいにくこの種は越後にはなく雪の少ない地方に自生する種です。ときに大きな群落になるそうですがクマガイソウの自生地近辺では数株かたまって生えていたのを確認しただけでした。
花が小さく、一見セリ科の花かと思えますがオミナエシの仲間でツルカノコソウです。越後にも自生はありますが、私のよく歩く範囲には見られない種でかなり戸惑ってしまいました。同行された方から逆に教えられた次第です。県内の分布を調べてみると、新潟市に近いエリアにはそれなりに自生しているのですが私が住む長岡近辺では皆無なのです。教えてくれた人は新潟にお住まいの方でした。さらに阿賀野川沿いには点々と自生をしていて福島県とつながっているのです。阿賀野川は新潟と福島を結ぶ重要な河川ですが、植物の移動に関してもかなり示唆的な存在ではないでしょうか。