森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

サワフタギ

2013年12月18日 | 自然観察日記
見慣れないものが多く存在する中で、越後と同じものがあるとどことなく親近感を覚えます。しかし、「どこか違うのでは・・・?」という詮索する眼は絶えず持っているのですが・・。
秋の蒼い実も魅力的ですが、春の溢れるような白い花の塊りもすばらしいの一言。とはいってもここで見たサワフタギの花のボリュウムはやや貧弱で、越後の山で見るものとは別物か?とさえ思えました。しかし、まぎれもなくサワフタギです。少々栄養状態が悪い個体なのかもしれません。一応沢沿いには自生していたもののもう少し湿気が欲しいのかもしれません。

ウスバサイシン

2013年12月18日 | 自然観察日記
ウスバサイシンも多くはないにせよ越後でも自生を見ます。カンアオイの仲間で葉が薄く光沢もありません。この仲間は分布速度が遅いということでしばしば取り上げらえます。1km分布域を広げるのに1万年かかるとか。どういう計算でそういわれるのか分かりませんが、生育速度は遅いのは確かです。
春の女神といわれるギフチョウとヒメギフチョウの関係でも取り上げられます。ギフチョウの食草はカンアオイ、ヒメギフチョウの食草がウスバサイシンだとかで、この両種の分布を調べれば2種の蝶の生息も推測できるといわれます。概して、ウスバサイシンの方が奥山にカンアオイは里山に多いため2種の蝶はすみわけを行っていると考えられます。クマガイソウ群落地に通ずる散策道に自生を見ました。ヒメギフチョウがいるかもしれません。

ヤマブキソウ

2013年12月17日 | 自然観察日記
クマガイソウの群落地へ出向いた目的のもう一つがこのヤマブキソウを見ることでした。ちょうど花の時期でしたから願いが叶って満足でしたが、本当のところはもう少し時間が欲しかった・・・。それほど広い群落ではないのですが、花盛りのヤマブキソウを観察できました。
ケシ科で花弁は4枚。クサノオウを大きくしたと思えば良いのでしょうがまるで別もの。花がバラ科のヤマブキと似た色具合で名づけられたようですが花弁が5枚ですから類縁はありません。東日本にはきわめて珍しく福島県内でもここの分布は貴重なものではないでしょうか。

ヤマブキソウ 花

2013年12月17日 | 自然観察日記
花は4~5cmの比較的大きな花。幾分光沢のある鮮やかな黄色をしています。草丈は最大で50cm位の草本です。株立ちにはなっていませんが地下茎などで繋がっているのでしょう、密生状態になっています。ケシ科ですから茎を折ると白い液が出るそうです。有毒ですね。

ヤブデマリ 花

2013年12月16日 | 自然観察日記
見慣れたヤブデマリよりやや小型の花が見られました。私のいる丘陵公園の里山には非常に個体数が多いのに、似た環境でありながらここでは申し訳なさそうな感じで僅かな個体しか見かけません。
葉を見れば確かに毛が生えています。いわゆるこの種が「ヤブデマリ」で毛を有し、越後に自生する毛のない種は「ケナシヤブデマリ」といわれる所以です。両種を比較してヤブデマリの知識をもう一回り深めることができました。花の作りも葉もみんな小ぶり。越後の種は大ぶりになるケースが多いことはよく知られています。しかし、「毛がないものがあるという形」に変わったものは雪国に住んでいてストンと来るものがありますが、「毛があるものがないもの」になって生育するというのは奇妙な感じがします。面白いですね。ヤブデマリは変なヤツです。

ミツバウツギ

2013年12月15日 | 自然観察日記
ウツギでもう一種目についたのがミツバウツギです。これは越後にもあることはありますがきわめて少なく分布も偏っている種です。しかし、ここには非常に個体数が多いのに至極感心。所変われば・・・です(太平洋側にはごく普通に自生しているようです)。植物の分布というのはどういう力が働いて生じることなのか改めて考えさせられます。名前の通り葉は3出複葉で対生します。日当たりのよい場所に生育する低木です。ちょうど花の時期に重なってあちらこちらで満開の花を見せていました。

ミツバウツギ 花

2013年12月15日 | 自然観察日記
科はミツバウツギ科という独立した形で分類されますが、ウツギの雰囲気に似ています。しかし、花は半開状態で開出することがないようです。果実の形が特徴的で実物をぜひ見てみたいと考えています。

ベニバナノツクバネウツギ

2013年12月14日 | 自然観察日記
関東以西にツクバネウツギという低木がカシ帯・ブナ帯などの林床に一般的に自生しているといいます。残念ながら私はツクバネウツギが自生する山域に行っていないのか、気づいていないのか・・。ツクバネウツギは公園などの植栽されたものでしか見たことがありません。私の住む越後ではウゴツクバネウツギという種は比較的容易に見られます。花は薄い黄色でやや大型の花を咲かせツクバネウツギの白い花とは一線を画します。ここ福島の中通りの山間には赤い花のツクバネウツギが見られました。ベニバナノツクバネウツギというそうで幾分花は小柄で花色は違うもののがくや葉などの特徴は私が見慣れているウゴツクバネウツギに似ています。動き回った範囲はごく狭いために、ツクバネウツギがあるのかどうかは分かりませんが、見かけたものはすべて赤い花。基本種がツクバネウツギとすると、より北には(あるいは標高が高い場所)アカバナノツクバネウツギが、日本海側の多雪地にはウゴツクバネウツギが進化適応してきたと考えるとそれなりの説得力があります。

ベニバナノツクバネウツギ 花

2013年12月14日 | 自然観察日記
がくの「つくばね」はこのグループの大きな特徴です。綺麗な色をしていますから改良しないでこのままでも十分観賞用にもなりそうです。花管の下部に見られ濃黄色の文様もツクバネウツギですね。川沿いの道路わきの藪にごく普通に自生していました。

ミヤマザクラ 花後

2013年12月14日 | 自然観察日記
花が散ってしまった株です。散るといっても花弁は未練がましく付着しているものが多く、潔さがないようです。花吹雪というような光景にはならないサクラです。日本では北海道などの寒地から九州の山地にかけて生育するとありますが、新潟など多雪地にはないようなので湿った雪は苦手な種のようですね。こういうサクラがあることを実物を観察して理解しました。自然は面白い!

タチガシワ

2013年12月13日 | 自然観察日記
地元越後を離れての観察会やらガイドを行うときの問題は見知らぬ花に出会った時のことです。○○の仲間と判断できるならその場をつくろうことも容易なことですが、どう頭の中の辞書をひっくり返しても出てこないものというのがあってもうお手上げ状態。素直に「分かりませ~ん!」と言うしかないですね。しかし、こういう出会いが何とも楽しくワクワク感を覚えます。
タチガシワ。ガガイモ科の種で実物を見るのも初めて図鑑での学習も皆無。ガガイモ科とさえ気づかない有様で同行者には気づかれないように、つばを飲み込みしばし立ちすくみました。幸いかどうか分かりませんが、クマガイソウの大群落の近くで多くはそちらの方に気を取られている状態で、杉林の散策道の片隅にひっそり咲いている地味なタチガシワに気づく人はいません。

タチガシワ 花

2013年12月13日 | 自然観察日記
花をよくよく観察すればガガイモ科の仲間ということは納得できます。越後で見るガガイモ科の種とは全体的な雰囲気が違いますから普段見慣れていないと分からない・・・。タチガシワの意味は調べてみるとツルガシワのように蔓状にならない種とありますが、ツルガシワも私は知りません。察するに、アカメガシワ(トウダイグサ科)の葉に似ているので「カシワ」はここから来たのではないのかなと勝手に解釈しています。少なくともブナ科のカシワではないようです。
福島県には広く分布しているようですが新潟県内では知られていないと思います。県内ばかりでなく、他県にも足を運んで自然観察を行うと楽しいことが沢山あることはわかっています。新しいものに出会うときはとてもワクワクし興奮してしまいます。しかし、それに嵌ると身動きが取れなくなることも見えていますからほどほどにして、自分がこなせる範囲にしていこうと考えています。

クリンソウ 花

2013年12月12日 | 自然観察日記
クリンソウは至る所の公園で見かける大型のサクラソウ科の花です。もっとも比較的自然に近いやや山間の湿地環境に植栽されることが多く、園芸種かと思われるくらいに大きな群落をつくっていることがあります。
ところがこのクリンソウの野生の個体を見た人がどれくらいることでしょうか。しばしば見る種でありながら、野生の個体が無くなてしまっているのです。私が知っている自生地は県内では唯一笹ヶ峰にあります。そこもかなり手が加えられてきましたから、純粋な群落ではありません。全国的にはまだ本当の自然の群落は存在しているのでしょうが、風前の灯状態ではないでしょうか。考えてみれば不思議な種です。人工的には結構増殖させやすい種ですから絶滅の危険は少ないかもしれません。しかし、本来あるべきところにはない・か激減している・・。クリンソウが好む環境が少なくなってきたとみるべきなのでしょうか?
クマガイソウの園の小さな沢沿いにも植栽されていました。

クリンソウ 葉

2013年12月12日 | 自然観察日記
ハクサンコザクラのような高山のサクラソウ科の種に比べると結構大型の葉を展開します。花がない季節などは可憐な花のイメージからかけ離れているために気づかないかもしれませんね。瑞々しくどこか葉物野菜に似た感じがします。