MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』

2014-10-07 00:35:24 | goo映画レビュー

原題:『About Time』
監督:リチャード・カーティス
脚本:リチャード・カーティス
撮影:ジョン・グレセリアン
出演:ドーナル・グリーソン/レイチェル・マクアダムス/ビル・ナイ/リディア・ウィルソン
2013年/アメリカ・イギリス

 「時間について」とタイトルをつけてハードルを上げた作品について

 タイムトラベルものに、当初の設定と多少ズレが生じてしまうことは仕方がないとしても、それ以前の問題として登場人物の気持ちが理解しがたい部分があった。
 例えば、主人公のティム・レイクにはキット・カットという名前の妹がいるのであるが、彼女はジミー・キンケードというボーイフレンドと交際していたことから、やがてアルコールに依存しがちになり、交通事故を起こして大けがをして入院することになる。ティムはキット・カットがジミーと初めて出会ったパーティーまで一緒に戻り、ジミーと関わらないことに成功はしたものの、元の時間に戻ってみると生まれて間もない娘のポージーの代わりに息子がいたことにショックを受けたティムはキット・カットの人生を元に戻すことでポージーも元に戻すことにする。しかしせっかく良くなったキット・カットの人生を元に戻すことや、ポージーの代わりにいた息子の人生をどのように考えているのか疑問が生じてくる。
 あるいはティムの父親が癌を患っていることに関して、何故過去に戻って治療を受けないのかどうしても理解できない。例えば、父親が本人も予期していなかった交通事故などで突然死んだのであるならば、過去に戻りようもないのだから納得できるのであるが、そのネタはキット・カットで使ってしまったから同じネタは使えなかったのであろうが、タイムトラベルという超能力を持っているのに肝心な時に使わない父親の気持ちが理解できないのである。そのような設定だとしたら都合が良すぎて(悪すぎて?)明らかに不自然である。
 ティムの母親の「クイーン」などのギャグや、やがて、人生は一度だけだから掛替えのないものになるのだからタイムトラベルに価値を見いだせなくなるという主題も悪くはなく、真っ暗闇の中の「合コン」シーンなど思い切った演出もあったが、脚本の練り上げが甘いように思う。


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