MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『フランシス・ハ』

2014-10-30 00:13:31 | goo映画レビュー

原題:『FRANCES HA』
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック/グレタ・ガーウィグ
撮影:サム・レビ
出演:グレタ・ガーウィグ/ミッキー・サムナー/アダム・ドライバー/マイケル・ゼゲン
2012年/アメリカ

独立独歩の大人としての「ハ」について

 ダンスカンパニーに所属している主人公のフランシスは、いつか舞台に立つことを夢見ながら練習に励んでおり、だからボーイフレンドから一緒に住もうという誘いも断るのであるが、なかなか舞台に上がるチャンスはもらえず、舞台監督からは事務職を勧められる有様で、そんな時にルームメイトのソフィがボーイフレンドと暮らすために同居の解消を言われる。このように出だしからフランシスはタイミングに恵まれない。気がついたら27歳のフランシスはいつまでも夢を見ていられないことは分かったものの、やることなすことギクシャクしてしまう。
 ところがそのような失敗の経験が却って功を奏したのか、フランシスはモダンダンスの振付師として頭角を現し、やがて自分名義で一人暮らしを始めるのである。その時、フランシスがポストに付けるネームプレートが長すぎて短くした結果、名字「ハラディー(Halladay)」の後半が抜けて「フランシス・ハ(Frances Ha)」となってしまうのであるが、これは他の「フランシス」ではなく、かと言って「ハラディー家」にも頼らない独立独歩の大人になったという暗示であろう。
 『汚れた血』(レオス・カラックス監督 1986年)のドニ・ラヴァンが演じる主人公のアレックスがデヴィッド・ボウイの「モダン・ラヴ(Modern Love)」が流れる中を全力疾走するシーンのパロディーは、男性の代わりに女性を、左から右に走るドニに対して、フランシスを右から左に走らせ、ドニの長めの走行に対して短めにまとめた捻りが秀逸であるが、ホット・チョコレート(Hot Chocolate)の1978年のヒット曲「Every 1's a Winner」も無視するわけにはいかない。以下、和訳。

「Every 1's a Winner」 Hot Chocolate 日本語訳

君が僕にしてくれたことが信じられなかった
君のあり方が信じられなかった
君が僕のところに来てくれた日を僕は毎日感謝する
だって君がスターだということを僕は信じているのだから

誰もが勝者であることは真実
君と愛し合うことはとてもスリリング
誰もが勝者であることは嘘ではない
君が満足し損なうなんてありえない
だからもう一度やろう

僕に何が起こっていたのかなんて説明のしようがない
ただ君が一度触れるだけで僕は炎と化す
それがどれほど素晴らしいことか
君と僕が好きでしていることがどれも同じだなんてびっくりするよ

誰もが勝者であることは真実
君と愛し合うことはとてもスリリング
誰もが勝者であることは嘘ではない
君が満足し損なうなんてありえない
だからもう一度やろう

誰もが勝者であることは真実
君と愛し合うことはとてもスリリング
誰もが勝者であることは嘘ではない
君が満足し損なうなんてありえない
だからもう一度やろう


(走るフランシス)


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