MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『プロミスト・ランド』

2014-10-18 00:06:26 | goo映画レビュー

原題:『Promised Land』
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:マット・デイモン/ジョン・クラシンスキー
撮影:リヌス・サンドグレン
出演:マット・デイモン/ジョン・クラシンスキー/フランシス・マクドーマンド
2012年/アメリカ

『約束の地』を装う「グローバル社」について

 さすがガス・ヴァン・サント監督の演出だけあって、見るべきところはある。例えば、主人公のスティーヴ・バトラーがマニュアル車をなかなか上手く乗りこなせない理由は、やがて彼が解雇される原因として大手エネルギー会社「グローバル社」の「マニュアル」に囚われない生き方という伏線につながるであろう。ラストで自身の会社の不正を告発しようかどうか迷っている時に、女の子が売っていた25セントのレモネードに対して、スティーヴが釣銭をチップとして払おうとした際に、女の子が「料金(fare)は25セントと書いてあるのだから、25セントしか受け取らない」と言い、釣銭をスティーヴに返す。ここに「公正(fair)」を感じたからスティーヴは告発に踏み切ったのである。
 『ミリオンダラー・アーム』(クレイグ・ギレスピー監督 2014年)は実話を元にした物語であったが、そこにかなりの脚色があることは既に指摘した。本作は実話が元になっているわけではないが、このような話があるだろうということは想像できる。ところで、本作で指摘された水圧破砕法に関して、それが科学的根拠に基づくものではなく、議論を単純化することにしか貢献していないとするならば、それはガス・ヴァン・サントやマット・デイモンにそのつもりはないとしても「グローバル社」と同じ過ちを犯しているのではないだろうか?


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする