MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ぶどうのなみだ』

2014-10-20 00:45:15 | goo映画レビュー

原題:『ぶどうのなみだ』
監督:三島有紀子
脚本:三島有紀子
撮影:月永雄太
出演:大泉洋/染谷将太/安藤裕子/田口トモロヲ/前野朋哉/江波杏子
2014年/日本

「ジョン」が気になる作品について

 どうやら主人公のアオは2003年頃には29歳の若さでオーケストラの常任指揮者として活躍していたようであるが、その後突発性難聴に見舞われて、指揮者としてのキャリアを諦め、地元の北海道の空知に戻って鎌を片手に自殺を図ろうとした時に、既に亡くなっていた父親がたまたま植えていた一本のぶどうの樹になっていた一房のぶどうを見つけて口にしたことからピノ・ノワールというぶどうを育て赤ワインの醸造に挑んでいるようである。
 どうしても土臭くなってしまうワインに試行錯誤していたある日、キャンピングカーに乗ったエリカがアオの農地のそばでダウジングによってアンモナイトの所在を確認して掘りはじめたことから物語が動き出す。紆余曲折がありながら、2012年の暮に仕込んだぶどうによってようやくアオが満足できる質のワインができるのである。
 エリカ(Erica)とはツツジ科の植物で、ヒース(Heath)もツツジ科エリカ属の低木で、鈴形の紫や赤や白の花が咲くのであるが、何故かエリカ本人は自身の名前の意味をヒースなどが生い茂った酸性土壌の「荒れ地」と解釈しており、本末転倒だと思う。
 それはともかく、ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間』と『怒りの葡萄』を組み合わせたような設定、風で回る風車やどこからともなく聞こえてくる鐘の音でジョン・フォードの監督作品なのかと、あるいはもしかしてジョン・ウェインでも出てくるのではないかと思わせるくらいにアメリカの西部劇の風景が再現されており、パロディーとして観るならばなかなかよく出来ていると思う。


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