原題:『Skin』
監督:ガイ・ナティーブ
脚本:ガイ・ナティーブ
撮影:アルノー・ポーティエ
出演:ジェイミー・ベル/ヴェラ・ファ―ミガ/ダニエル・マクドナルド/マイク・コルター
2019年/アメリカ
「ファミリー」を作ることの難しさについて
実話を基にした白人至上主義のレイシスト集団が描かれているのであるが、考えさせられる作品だった。
主人公のブライオン・“バブス”・ワイドナーは顔中にタトゥーをしている主要メンバーの一人なのだが、「パパ」や「ママ」と呼んでいるグループのトップのフレッドとシャリーンのクレーガー夫妻は彼の実の両親ではなく、彼が幼い頃に拾ってくれた育ての親なのである。それはフレッドとブライオンがギャビンという家出少年を「スカウト」するシーンで暗示されることになる。
ブライオンが後の妻となるジュリー・プライスと出会うきっかけはジュリーの末娘であるイギーがブライオンのロットワイラーのボスという名前の愛犬に懐いたことなのであるが、顔中刺青のブライオンをイギーが怖がらなかったことは奇跡といってもいい出来事で、ブライオンが更生するきっかけにもなるのである。
もうひとつ気になることはクレーガー夫妻の会話で、流産して子供が授からなかったことを嘆いているシーンがあり、そうなるとクレーガー夫妻のレイシスト集団の真の目的が主義主張だったのか、あるいはその主義主張は強靭な「ファミリー」を形成するための単なる方便だったのか微妙なところで、ラストにおいて手術で顔の刺青を取り去ったブライオンがジュリーと2人の間に生まれた赤ちゃんに会いに行ったシーンで終わるところが意味深長なのである。