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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ペイン・アンド・グローリー』

2020-07-13 00:58:20 | goo映画レビュー

原題:『Dolor y gloria』 英題:『Pain and Glory』
監督:ペドロ・アルモドバル
脚本:ペドロ・アルモドバル
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ
出演:アントニオ・バンデラス/ペネロペ・クルス/レオナルド・スバラグリア/セシリア・ロス
2019年/スペイン

「痛み」の取り除き方について

 主人公で世界的な映画監督のサルバドール・マロは30歳ころから脊椎に痛みを感じ、コカインのようなドラッグで痛みを凌いでいた。ある日初期の作品である『Sabor(フレーバー、風味)』の再上映を期に、作品の主演を担い、それ以来32年間絶交していたアルベルト・クレスポと再会する。撮影中にヘロインを吸っていたことが原因でアルベルトと大喧嘩した末に関係を断っていたのであるが、久しぶりに再会したアルベルトが吸っていたヘロインを吸ったことでサルバドールも中毒になってしまう。
 サルバドールはアルベルトの一人芝居を観に来ていた昔の恋人であるフェデリコとも再会する。フェデリコは結婚して子供もおりアルゼンチンで暮らしていたのだが、たまたま仕事で訪れていたマドリッドでサルバドールが脚本を書いた芝居を知って観に来ていたのである。
 サルバドールはさらに子供の頃に洞窟で家族と暮していた頃を思い出す。洞窟の壁に絵を描きにきていたエデュアルドに読み書きを教えていたのであるが、彼が全裸で水浴びをしているところを見てしまったことでサルバドールは自分がゲイであることを知るのである。
 母親のジャシンタが病院で亡くなり、長年の友人のスレマの勧めもあってサルバドールはようやく脊椎の手術を受ける。それならば早く手術を受ければ良かったのではないかとも思うのだが、マリリン・モンロー出演の『ナイアガラ』(ヘンリー・ハサウェイ監督 1953年)やナタリー・ウッド主演の『草原の輝き』(エリア・カザン監督 1961年)のフッテージも交えることでタイトルにある「痛み」とは脊椎の痛みのみならず、最愛の母の死や仕事仲間との喧嘩や恋人との別れなど全てに掛かっており、その全ての痛みを乗り越えた先に「栄光」は待っていたのである。


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