原題:『The Current War』
監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
脚本:マイケル・ミトニック
撮影:チョン・ジョンフン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ/マイケル・シャノン/ニコラス・ホルト/キャサリン・ウォーターストン
2017年/アメリカ
「直流」と「交流」という「性格」について
電力の供給方法を巡る直流送電派のトーマス・エジソンと交流送電派のジョージ・ウェスティングハウスの攻防が描かれている。本来ならばこの諍いは「電流戦争(The war of the currents)」と呼ぶのであるが、本作のタイトルが「The Current War」となっているのは「現下の戦争」という意味も含まれていると思う。
エジソンの自己主張の強さと比較するならば、ウェスティングハウスは控えめな性格だったようで、2人の性格が「直流」と「交流」の暗喩になっているところや、「電流戦争」に勝利したのはウェスティングハウスの方なのだが、負けたエジソンの方が有名なのも興味深い。
もう一つ興味深いエピソードは、エジソンは自身の発明を人殺しのために使用されることを断固拒否し、直流送電が交流送電と比較して送電距離が短かったことからネガティブキャンペーンの一環として敢えて交流電流方式で囚人が処刑される際に用いられる電気椅子を作ったのであるが、だからといって直流送電の弱点が直るわけではなく、電気自体の印象を悪くしてしまうという失態を演じてしまうところは「発明王」と誉れ高いエジソンの業績が意外とごちゃごちゃしている要因なのであろう。
ところでラストシーンは1893年のシカゴ万博でエジソンとウェスティングハウスが言葉を交わすのであるが、彼らの目の前で披露されている日本の女性の書道家の書道のパフォーマンスは世界に誇示するほどのクオリティーだっただろうか?