原題:『Sonic the Hedgehog』
監督:ジェフ・ファウラー
脚本:パトリック・ケイシー/ジョシュ・ミラー
撮影:スティーヴン・F・ウィンドン
出演:ジェームズ・マースデン/ベン・シュワルツ/ティカ・サンプター/ジム・キャリー
2020年/アメリカ・日本
「青」と「赤」が占拠する画面について
ソニックがハリウッドで映画化されると聞いた時、アメリカにはソニックの代わりにロードランナー(Road Runner)がいるではないかと思った。
最初は版権の問題なのかと思ったのだが、久しぶりにロードランナーを見て見ると、このカッコウ科のオオミチバシリはかなり貧相な相貌で、だから映画化しても映えないかもしれない。ロードランナーは1948年に創作されたキャラクターだから時代遅れの感は否めない。
ところで本作の興味深い点はソニックではなく、ソニックに関わることになる保安官のトーマス・マイケル・“トム”・ウォシャウスキーと妻で獣医のマディである。何故白人の男性と黒人の女性のカップルを登場させたのか? 実際にマディの姉のレイチェルがトムを毛嫌いしている理由は、トムが白人だからだと思う。
本作はソニックと天才科学者のドクター・ロボトニックの争いが描かれているのだが、もはや当人ではなくソニックの「青」とドクター・ロボトニックの「赤」の画面全体を巡る群雄割拠の様相を呈する。そうなると「白」と「黒」は作品後半のカラフルな画面の見栄えを良くするための「モノクロ」の役割を果たしているように見えなくもないのである。