原題:『Asteroid City』
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン
撮影:ロバート・D・イェ―マン
出演:ジェイソン・シュワルツマン/エドワード・ノートン/ティルダ・スウィントン/エイドリアン・ブロディ/ウィレム・デフォー/スカーレット・ヨハンソン/トム・ハンクス/マーゴット・ロビー/マヤ・ホーク/スティーヴ・カレル
2023年/アメリカ
個性的な「画角」には収まらない核の話について
ウェス・アンダーソン監督作品はあまりにも独特過ぎて観客を選んでしまうが、本作はさらに個性のギアを上げた感じで、劇作家のコンラッド・アープによって書かれた舞台「アステロイド・シティ」をシューベルト・グリーンが演出する様子を映すアンソロジーテレビ番組の司会者というメタフィクション的な構成であるが故に、より分かりにくいように感じる。
ところで本作は1955年のアメリカ南西部の「アステロイド・シティ」と呼ばれる砂漠の街が舞台設定なのだが、遠くでキノコ雲が見えるし、宇宙人も登場するのだから「エリア51(Area 51)」でも有名なネバダ州であろう。どうも個人的には原爆実験を表現しているわりには、放射能に関心を示すこともなくほとんど「お飾り」のような扱いに違和感を持ってしまい、最後には「目覚めるためには眠らなければならない(You Can’t Wake Up If You Don’t Fall Asleep)」という歌がリフレインされるのだが、この歌が「正しい」かどうかはともかく、そもそも政治的な話はそれほど期待はしていなかったもののウェス・アンダーソン監督でさえも核の話になると甘いという現実は認識できた。『オッペンハイマー(Oppenheimer)』(クリストファー・ノーラン監督 2023年)も是非日本で観てみたいと願う。
ジャーヴィス・コッカーが歌う「You Can’t Wake Up If You Don’t Fall Asleep」を和訳しておきたい。
「You Can’t Wake Up If You Don’t Fall Asleep」 Jarvis Cocker 日本語訳
もしもおまえが眠らないのならば
おまえは目覚めることはできない
おまえは恋をすることもできないし
地面に足をつけることもできない
もしもおまえが全く種を植えないのならば
おまえは薔薇の香りをかぐこともないだろう
もしもおまえが眠らないのならば
おまえは目覚めることはできないのだ
もしもおまえがきっかけを失い続けるのならば
おまえは舞台に登場することはできない
選択の仕方を学ぶまで
おまえが受賞者を選ぶことはないだろう
おまえは深く掘らない限り
宝を見つけることはあり得ない
もしもおまえが眠らないのならば
おまえは目覚めることはできないのだ
おまえが眠っている間に
おまえがいつまでも価値のある記憶を留めておくことは決してないだろうし
おまえが探し求めている真実を見つけることは決してないだろう
でももしもおまえが眠らないのならば
おまえは目覚めることはできないのだから
おまえはおまえの夢を生きるんだ
本当に深みのある夢を生きるんだ
札束を数えている者もいれば羊を数えている者もいる
もしもおまえが眠らないのならば
おまえは目覚めることはできないのだ
もしもおまえが眠らないのならば
You Can't Wake Up If You Don't Fall Asleep
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