原題:『Corsage』
監督:マリー・クロイツァー
脚本:マリー・クロイツァー
撮影:ジュディス・カウフマン
出演:ヴィッキー・クリープス/フロリアン・タイヒトマイスター/カタリーナ・ローレンツ/マヌエル・ルバイ/フィネガン・オールドフィールド/コリン・モーガン
2022年/オーストリア・ルクセンブルク・ドイツ・フランス
「歴史もの」の現代的解釈について
1877年のクリスマスイブで40歳になるエリザベートは湯船の中でどれくらい息を止められるか計っている。本人は20秒くらいだと思っていたが召使たちに1分以上止めていたと言われる。そしてラストシーンはエリザベートは髭をつけて踊っている。途中の宮廷でのハープの弾き語りではみんなでザ・ローリング・ストーンズの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」を歌っている。完全にふざけているのだが、「史実もの」としては分かりやすくなっていると思う。
タイトルの「コサージ」はコルセットの意味で、主人公のオーストリアの皇妃エリザベートのみならず、周りの女性たちもコルセットで苦労している。宮廷で良い暮らしをしているが故につい食べ過ぎてしまうことで女性たちは肥満に悩んでおり、それが彼女たちの苦悩の元凶であり、つい煙草を吸いクスリを打ったりしてしまうのである。
カミ―ルが2011年にリリースしたアルバム『Ilo Veyou』に収録されている「シー・ワズ」を和訳しておきたい。
「She Was」 Camille 日本語訳
彼女は家にいる時には白鳥で
外に出かければ虎だった
そして野生の虎は誰にも拘束されない
彼女が道に迷った時
彼女はヒキガエルだった
私が路上で彼女を見つけたその日
私は彼女に水とバラをあげた
彼女が伸びをした時
太陽が昇った
行って
行って
行きなさい
彼女が若かった時
彼女は雌牛だった
一日中彼女は星々を絞り出し
彼女は私に女性の生き残り方を教えた
彼女は世界のあらゆる奇才を備えた
彼女たちの子どもに不誠実に違いない
彼女は鳥を飼っている少女だった
彼女は様々な人生を送っているに違いない
それは最初だったのか?
それは最後だったのか?
行って
行って
行きなさい
彼女が病気だった時
彼女はクジラだった
彼女はとても忍耐強かったから
彼女の苦悩を和らげる最高に甘美な歌を
正確に私が歌うまで待てるだろう
彼女が老いた時
彼女はフクロウだった
私は空で揺らめいている彼女を見た
彼女が私の両腕に抱かれて死んだ時
彼女は猫だったと私は理解した
行って
行って
行きなさい
時々私は自分の子どもが
彼女の瞳を持っているのではないかと訝しむ
私を見通す瞳を
私が死んで
私がまた生まれる時
私は何になるのだろう?
石?
猫?
樹?
行って
行って
行きなさい
Camille - She Was (Official Audio)
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